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ぶらりボキャブラ散歩
ほぼ日替わり 気まぐれ英単語 


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アトランダムに単語を選択, 時に語源や他言語との比較などを通してトリビアに, 時に学校英語・受験英語的にアプローチ。 しかも気が向いたときだけ更新して行く--だから気まぐれ英単語。 
言葉を通して文化を知るおもしろさ・奥深さを楽しんでもらえたらと思います。 兄弟版ひとことENGLISHへと同様,日々の勉強の「箸休め」としてご活用ください。
(中)は中学生レベルの語, (高)は高校生レベルの語, (般)はその他の語を表します。

                
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068 (般) (05月02日) carnation 「カーネーション」


前回は母の日の由来がテーマでした。 今回は母の日のシンポル, カーネーションを語源を探ります。


その語源には二つの説があります。
一つの説は花弁が冠に見えることから coronation 「戴冠式」の崩れた形というもの。 
もう一つの説は人の肌の色に似ていることから古フランス語の「肌の色」を意味する carnation がついたというもの。 carn- の部分は carnival 「謝肉祭」にもある「肉」を意味します。 


さてこの数行で今回の「語源探索」はおしまい―ということにはなりません。 カーネーションにはもっと複雑な裏話が隠されているのです。 それを紐解くために, カーネーションの古名 gillyflower と 別名 clove pink から話を始めましょう。


gillyflower は現在はストックやニオイアラセイトウなどの花を指しますが元はカーネーションのことでした。 この語源について「July-flower (7月の花)の崩れたもの」とする文献がありますが, これは間違っています。 正確な語源は古フランス語の girofle であり,「7月」とは無関係です。


そしてこの girofle の元をたどるとギリシャ語の karyofyllon に行きつきます。 
これは「クルミのような固い殻の実」を意味する karyon と「葉」を意味する fyllon が組み合わさった語で香辛料の「クローブ, ちょうじ」(英語の clove)のことです。 これでカーネーションの別名 clove pink が結びつきます。


クローブはインドネシアのモラッカ諸島原産の熱帯性の常緑高木です。 一方, カーネーションは地中海原産のナデシコ科の多年草(または一年草)で, クローブとは全く別物です。 ところがカーネーションの香りとクローブの香りが似ていることから, ヨーロッパの諸言語でこの二つが混同する現象が起きてしまいました。


かつてカーネーションはワインの風味や香りづけに使われていて, 現在もサラダやピクルスさらにジャムにするレシピがあることから考えて, 鑑賞用以前にカーネーションは一種のハーブとして使われていたと思われます。  ペルシャやインドなどの東方との交易を通してしか手に入らない貴重で高価なクローブの代用品としてカーネーションは使われていました。 ギリシャ語の karyofyllon は本来クローブを意味していたのが, カーネーションも意味するようになったのはこんな経緯からでしょう。


ここでヨーロッパの諸言語でカーネーションをどう言うか分類すると以下のようになります。
*はフォントの関係で正しい表記ができないことを示します。
古代ギリシャ語の「クローブ」を意味する karyofyllon  が語源
garifalo ギリシャ語    garofano イタリア語    garoafa rosie* ルーマニア語   karafiat チェコ語   karanfil セルボクロアチア語    karanfil トルコ語  
gillyflower 古英語
「クギ, 鋲, リベット」を意味する語が語源
clavel スペイン語     cravo ポルトガル語    Nelke ドイツ語 
nejlika スウエーデン語    nellika デンマーク語   nellik ノルウエー語 
フィンランド語 neilikka   ロシア語 gvazdika*   ポーランド語 gozdzik*
その他
oeillet フランス語「小さい目」  anjer オランダ語「ジャワ島の村の名前(?)」
carnation 英語 上記参照


このうち, 2番目の「クギ, 鋲, リペット」とカーネーションがなぜ結びつくのか, その答えは次のページで。


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