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z148 (11月21日) 色を使う慣用句(1)


see red 「かっとなる」


直訳: 赤を見る
例文: When the teacher found malicious graffiti chalked on the blackboard, he saw red but he managed to control his anger.
黒板に悪意のある落書きを見つけたとき, その教師はかっとなったがなんとか怒りを押さえた。






この慣用句の起源として考えるとまず思い浮かぶのが闘牛士の赤いケープを見て興奮する牛。もっとも, 実際は, ヘビ使いのヘビが笛の音ではなく笛の動きに反応するように, 色盲である牛はケープの赤い色に反応しているのではなくその動きに反応しているのだそうですが。


フランス語とイタリア語とドイツ語は英語とまったく同じ「赤を見る」が「かっとなる」を意味しています。
フランス語 voir rouge
イタリア語 vedere rosso
ドイツ語 Rot sehen
では闘牛の盛んなスペインではどうなのでしょうか。  スペインの文部科学省(Ministerio de educación y ciencia)のサイトにはイタリア語とスペイン語の色を使った慣用句の比較をしているページがあります。 http://www.sgci.mec.es/redele/revista4/galinanes.shtml


これによるとイタリア語の vedere rosso はスペイン語ではそのまま ver rojo と訳しても通じないらしく no ver a causa de ira 「怒りのために目が見えなくなる」と訳すようです。 もし英仏伊独語に共通に見られる「赤を見る」が闘牛を起源としているなら, その本場スペイン語でもあっておかしくないのにそれがありません。 


上記のページの vedere rosso の下に「イタリア語の赤のシンボルするのは血, 怒り, ポルノ, 売春」と言った記述が見えます。 そして私の手もとにある仏和辞典の voir rouge の項には「(流血沙汰になりかねないほど)かっと血が上る」と書いてあります。 


以上のことから考えると, この赤は闘牛士の布の赤ではなく血と見る方が妥当であるように思えます。