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ぶらりボキャブラ散歩
ほぼ日替わり 気まぐれ英単語 


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アトランダムに単語を選択, 時に学校英語・受験英語的に, 時にトリビアにアプローチ。 しかも気が向いたときだけ更新して行く--だから気まぐれ英単語。 
でも単語暗記の手助けになると思います。 兄弟版ひとことENGLISHへと同様,ご活用ください。
(中)は中学生レベルの語, (高)は高校生レベルの語, (般)はその他の語を表します。

                
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022 (中)  hobby  「趣味


 hobby の語源を調べてみると, おもちゃの「棒馬」を表す hobbyhorse* を省略したもので, このおもちゃのように楽しいものということで hobby が生まれたようです。 hobby という言葉は 13世紀末「小さな馬」の愛称として使われた Robin に遡るようで, これが 「モリス・ダンス**(Morris dance)で使われる馬」となり, さらに16世紀半ばに「子供が乗る小さな馬」そして「棒馬」へと変化したと言われいてます。


hobbyhorse* 頭だけが馬で胴体は棒になっている木製のおもちゃ。 これにまたがって子供が遊ぶ。 イメージ検索すると hobbyhorse より rocking horse (木馬)のイメージの方がたくさん出て来ました。 どうやらこの2つを混同しているネイティブも多いようです。 
追記(3/23): オランダ語の児童向け文学のページを見ていたら Drie rode hobbelpaardjes (3人が木馬に乗った)という詞(童謡?)に出くわしました。 hobbelpaardje (イメージ検索)は hobbelen 揺らす と paardje 子馬 からなる語です。 これと hobbyhorse は関係があるのではないかと思いました。 ひょっとしたら hobby は Bobby という馬の名前ではなく, オランダ語の hobbelen から来ているのかもしれないと閃いたのです。 少なくとも上記のように hobbyhorse を「棒馬」ではなく「木馬」と混同しているのは, オランダ語の hbbelpaardje が絡んでいるのではないでしょうか。


Morris dance ** (イメージ)は15世紀半ば以前から続く伝統的なイギリスの祭りの踊りで聖霊降臨祭(Whitsunday=復活祭の後の第7日曜日)に農民が踊っていたのが原形で, 各村で服装やステップに流儀があるようです。 例えば足に鈴をつけるとかハンカチを小物に使うとか顔を黒く塗って踊るというように。 詳しくは Wikipedia(記述は英語)


hobby と似ている言葉に pastime 「暇つぶし」があります。 どちらも好きなことに時間を費やすという共通点がありますが, hobby が長期にわたって追求しているいくらか知的・専門化した楽しみ・興味のあることを意味するのに対し, pastime は単に時間をつぶすことを示唆します。 だからネコには日向ぼっこのような pastime はあっても hobby はありえません。 また watching TV  や taking a nap (昼寝すること)は hobby ではなく pastime であることもおわかりになると思います。


hobby はフランス語, ドイツ語, イタリア語など各国語に外来語としてそのままの形で取り入れられた英単語のうちの一つです。 それなのに日本語はふつう「ホビー」と言わず「趣味」と訳して使っています。 外来語好きの日本人なのにどうしてでしょうか。 また hobby をそのま取り入れた国には hobby の意味する概念がなかったからそうしたのでしょうか。


「趣味」の類語に「道楽」があります。 しかし道楽には博打や酒など悪い遊びに夢中になるというマイナスのイメージのある語です。  (この意味では英語は dissipation という文章語。) 一方, 趣味は趣きや味わい, 品のよさを示唆する高尚な響きがあります。 
もし日本語に道楽という言葉しかなかったとすれば, おそらくホビーという外来語を使ったでしょう。  hobby の日本語訳に趣味をあてた趣味の良い訳者のおかげでカタカナ言葉が一つ減ったと言えます。


では他の外国語の場合はどうでしょうか。 イタリア語を例にすると「娯楽」「楽しみ」「気分転換」を意味する語は divertimento,  svago, diporto, trastullo など多くあります。 hobby はこれらのために暇なとき追求する特別の活動の意味で, ニュアンスは英語の hobby や日本語の「趣味」と全く同じです。 そしてこれらの類語より日常的であり,検索する限りで言えば divertimento や svago より hobby の方が使用頻度は高く, 検索して出てきた英文を検討すると, 日本語のカタカナ言葉が持つのと同じく, 洒落た感じ,軽い感じを出すために好んで使われているように思えます。


なお  hobby には「チゴハヤブサ(Eurasian hobby) イメージ」というタカの一種も意味しますが語源は「趣味」の hobby とは異なります。
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