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毎日ひとこと :一度は使ってみたくなる,使える英語の会話表現
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341   stay put  (じっとしている) 
この put は過去分詞形で「置かれたままにしている」が直訳になります。 命令文で使うことが多いですが, 平叙文で使っても大丈夫です。 使い方の特徴としてはこのあとに場所を表す副詞(句)はほとんど続かないこと。 ほとんどが stay put で終わるようです。  新しい表現のように見えますが語源辞典によると初めての記録は1843年とだそうです。
例: Stay put.  I'm coming right away.  じっとしていなさい。 すぐ行くから。
 

342   a steal  (超お買い得品/価格, 掘り出し物) 
「実際の価値よりもはるかに安い品物」ということです。 steal は「盗み」なので売る側の立場に立つと日本語の「もってけドロボー」と同じ発想でしょう。  a bargain  と同じ意味ですが bargain よりも使い方が限定的です。 すなわち 〜 is a steal  の形をとることが多く I bought a steal のように他の動詞との組み合わせはかなりまれです。 一方 a bargain の方は I got a bargain (掘り出し物を買った)のように他の組み合わせにしてもおかしくありません。 
なお前置詞の組み合わせとしては for a steal (超お買い得価格で) や a steal at 値段 (〜という超お買い得価格) が一般的です。
例1: This fully loaded computer is only \88,888.  It's a steal!  このフル装備のコンピュータが88,888円。 超お買い得です。
例2:  This is a steal at \5,000.  これは5千円という超お買い得価格です。
例3: You can get it for a steal.  これを超お買い得価格で買えますよ。


343  step back (1歩退く; 1歩退いて考え直す) 
名詞の step が「1歩」なので動詞の step は「1歩か数歩程度分の短い距離を進む」の意味になります。 行き来を表すとき go とか come がつい頭に浮かびますが,  step +場所を示す副詞・前置詞 を使うことも語の選択肢に入れると表現がより豊かに正確になると思います。 例: step in 1歩足を踏み入れる  step into 〜〜の中に足を1歩入れる  step out(side)  外に出る  step forward 1歩前に出る  step down 降りる  step out of the line  列から1歩でる
他の行き来を表す動詞と同様, これら step +副詞 が比ゆ的な意味になっていろいろな熟語を作ります。 step back の場合, 文字通りの「1歩退く」から「1歩退いて客観的に物事を見直す・考え直す」の意味になります。 
「退く」から連想して「撤退する(withdraw)」という意味に使えそうですが, これは避けた方がよいでしょう。 例えば step back from the project は「プロジェクトを客観的に見直す」という意味で「プロジェクトから撤退する」ではありません。 ただ検索すると少数ですが「撤退する」という意味に取れる用例もありました。 誤解を生じないように注意しなくてはいけません。
例: The local government should step back from the project until all involved are satisfied with the road construction plans. 地元の自治体は関係者が道路建設計画に満足するまでそのプロジェクトを1歩退いて考え直すべきだ。




344   step back in time (昔にタイムスリップする) 
step back in time は 前回の step back 「1歩退く」 に in time 「時間において」 を添えたもの。 問題は日本語の「タイム・スリップ」が "time slip" で良いかということ。 確かに Time slips.  という組み合わせはありますが, それは「時が知らないうちに過ぎ去る」という意味でふつう Time slips away. や Time slips by. のように副詞 away や by をともなって使います。 
例: As the time slipped away, and we talked late into the night, I knew that it was time to go home. 時が知らぬ間に過ぎ去り, 私たちは夜更けまで話してもう帰る時間だということがわかった。

この用例からも日本語の「タイム・スリップする」とは意味が全く異なることがわかります。
日本語の「昔にタイム・スリップする」として無難なのはこの step back in time 。 a step back in time というように a を添えれば名詞になり, さらに表現を広げることができます。
例1: I feel like I had stepped back in time to the 60's.  60年代にタイム・スリップしたような気がする。
例2: You'll feel as if you'd stepped back in time 100 years ago when you walk across the wooden floors, sit in the willow  furniture.  木の床を歩きヤナギでできたイスやテーブルに座ると100年前の昔にタイム・スリップしたかのおゆな気がするでしょう。  
例3: I like to take a trip to the places where I can enjoy a step back in time. 昔に戻れるような場所に旅行するのが好きです。
例4: A walking in the city of Sawara is a step back in time.  佐原の町を歩くとタイム・スリップしたような気になります。


345   step on it (アクセルを踏む; 急ぐ) 
 自動車を運転していて backseat driver (後部座席にいて運転の指図をうるさく言う人) から "Step on it!" と言われたら間違ってもブレーキを踏んではいけません。 この場合の it はアクセルのこと。 要は「急げ」と言われたのです。  it の代りに gas (ガソリン) を使って step on the gas  とも言います。  なお「ブレーキを踏む」は step on the brake です。




346   Let's step outside. (外で話をつけようじゃないか。) 
step は「1歩もしくは数歩分程度の歩みで移動する」という意味で go とか walk などと同じように方向や場所を示す副詞と組み合わせることができることは前々回に取り上げました。
step outside も「1,2歩歩んで外へ出る」という意味で使うことはもちろんできるのですが, (例: I stepped outside and began to walk along the street. 私は外に出て通りを歩き出した。) 表題のように命令文, 特に Let's 〜 の命令文となるとちょっと意味合いが違ってきます。
 Let's go outside. と言えば「飽きたから外に遊びに行こう」とか「ここは空気が悪いから外へ行こう」のようにごく穏やかな状況が思い浮かびますが, こちらは険悪な空気が漂います。 そう, 「ちょっと外で話しせんかい, にいちゃん」みたいな感じです。
こう言われる状況にならないように, 君子危うきに近寄らず。。 もっとも腕に自信があるのでしたら別ですが。
 



347   stick with 人 (人から離れずについて行く; 人に忠実について行く) 
stick の意味は「突き刺す→突き刺して固定する→くっつける→身動きがとれない」という具合に広がり, 口語表現が案外多い語です。 しばらくは stick を使った表現を掲載します。
今回の表現は「〜といっしょにくっついている」というイメージからその意味は容易に推測できるでしょう。 なおこの意味の場合は命令形や未来形の用例が断然多いので, そのように使って方がより良いと思います。
例1: Stick with me, and I'll show you how to study English.  私について来なさい。 そうすればどうやって英語を勉強したらいいか教えてあげます。
例2: Stay true to you, and your fans will stick with you! いつまでもあなたらしくいてください。 そうすればファンはいつまでもあなたについて行きますから。

 



348   〜 sticks in my mind (〜が頭から離れない, 焼きついて離れない) 
情景や言葉, 出来事などが頭にこびりついて忘れなれないという意味。 stick の「くっつく」という意味から容易に連想ができる表現です。 同じ意味を 〜 sticks with me で表すこともできます。 前回の stick with の主語が人であったのに対しこちらは物が主語になります。 
例1: There are a lot of things that stick in my mind about my late mother with dementia.  One of them  is what she said clearly lying on the ICU bed; "I'm all right, because I am alive."   死んだ痴呆症だった私の母についてたくさん頭から離れないことがある。 その一つは集中治療室のベッドに寝ながらはっきりと言った一言である― 「生きているから大丈夫。」
例2: The feeling that still sticks with me after 10 years after I saw the movie is that I am not alone in  space.   その映画を見て10年経った今も残っている感情は私は宇宙でひとりぼっちでないということだ。 
例3: She suffers from PTSD; She experienced the Great Hanshin Awaji Earthquake and a lot of terrible scenes stick in her mind.  彼女は心的外傷後ストレス障害に苦しんでいる。 彼女は阪神淡路大震災を経験し恐ろしい光景が目に焼きついて離れないのだ。


349   stick to 〜 (やると決めたことを困難でもやり通す) 
stick の意味から考えて日本語の「粘り強くやる」という感じに近いニュアンスではでしょうか。 これも前回・前々回と同様  stick with 〜 が使えますが, stick with の方がより口語的のようです。
Stick to it.  とか Stick with it. のように it を目的語にした命令文の形に「がんばれ」と入った意味になります。 
例1: When you begin to study  Korean,  you may find pronunciation too complicated to master.  But stick to it and you'll have a knack.  韓国語を勉強し始めると発音が複雑でマスターできないように思うだろう。 しかしへこたれずにやれば, コツがつかめるだろう。
例2: "Do you still stick to the diet you said you'd go on till you lose 10 kg?""Don't remind me when I am eating three pieces of chocolate peanut butter cheesecake with 800 calories per serving." 「10キロ減量するまで続けると言ったダイエットはまだがんばっているの?」「思い出させないでよ。 1人前800カロリーのチョコレート・ピーナッツ・バター・チーズケーキを3人前食べている最中に。」
例3: Once you make a decision, stick with it at least for a while. 一度なにか決心したら少なくともしばらくはがんばりなさい。




350   Go stick your head in a pig. (ブーブー文句言うな) 
現在(2003年10月下旬)ちまたでは客からのクレームへの対処のしかたを書いた本が売れているそうですが, 今回の表現はそれと関連があります。


今回の表現は Douglas Adams(1952-2001)というイギリスの作家が書いたラジオ向けコメディ Hitchhiker's Guide to the Galaxy (初回1978年)の挿入歌の歌詞の一部です。  ただし一般に使われ始めているようですが, まだ熟語とか慣用表現として辞書などでは認知されていません。 


Hitchhiker's Guide to the Galaxy というのは未来の架空のソフト会社 The Sirius Cybernetics Corporation が舞台の話です。  この会社はロボットやいろいろな発明品を作るのですがバグも多いというのがこのコメディの設定です。 これは某ソフト会社のパロディを思わせますが, 実際はそうではなく, むしろその会社の出現を予言していたとされています。 (その某ソフト会社はこの作品が世に出る前の1975年設立ですが, バグで有名な某ソフトのバージョン1は1985年に出現。) 


表題の Go stick your head in a pig はこの会社の苦情処理を担当する課のテーマソングの最後のフレーズから生まれました。 それは:


Don't come to us, we won't give a fig
We'll tell you: "Go Stick Your Head in a Pig"



我々のところに文句を言いに来るんじゃない。 
来ても fig (親指を人差し指と中指の間に入れる(もしくは上歯の下に入れる)下品な軽蔑のジェスチャー)はしない。
その代わりこう言ってやる。 「とっととあんたの頭をブタに突っ込みに行きな。」


というものです。 pig が使われているのは fig と韻を踏むためなのですが偶然日本語の「ブーブー文句を言う」とかけることができるのは面白いですね。

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