トリスタン・ダ・クーニャの料理                
 

2011年2月NHK BShi で放送された『世界一番紀行』でトリスタン・ダ・クーニャの制作をしたオルタス・ジャパンのディレクター吉岡攻様からたくさんの貴重な資料を譲っていただきました。 その中には現地に行かないと手に入らないものもあり, まさに宝の山。 少しずつその資料をご紹介します。


今回は『トリスタン・ダ・クーニャからのレシピ(Recipes from Tristan da Cunha)』という小冊子です。
A5版31ページの小冊子で下に記す料理のレシピがあります。
(注) ネットで買うこともできるようです(ただし代金を海外に送金するためその手数料が以上に高くつきます)。
 




この小冊子からわかること。
(1) 食材としてはよく使われるのはジャガイモ。 アップルパイやイギリスのお菓子のジャム・ローリー・ポーリーの生地にも小麦粉とマッシュド・ポテトを混ぜたものが使われています。 
ちなみにトリスタンの英語ではジャガイモを Tayda と言うようです。 potato の po が取れたのでしょうね。  

(2) 味付けは至ってシンプル。 魚・肉料理の味付けは塩, コショウ程度。 あとはせいぜいカレー粉, パセリ, リーキ(長ネギの一種)が隠し味として使われているくらいです。


(3) イギリス料理が基本。 でも本土では現在あまり作られていない後述のゆでプディングや, 南アフリカ料理の bredie のトリスタン版という珍しいものもあります。 なお bredie は本場南アフリカではトマトを使うようですがトリスタンではトマトが栽培されていないのかカボチャかキャベツで代替しています。

■ スープ類3種 
ナンキョクメダイ(hyperoglyphe antactica) のスープ, マトンのスープ, 羊のモツのスープ
■ 魚料理5種 
ニュージーランドオオハタ(polyprion oxygeneios)のハッシュド・フィッシュ, ハッシュド・ロブスター, ナンキョクメダイのフィッシュ・カレー, ミナミクロメダイ(schedophilus velaini)のミンチ, ヒラマサ(seriola ialnadi)のハンバーグ
■ 肉料理8種
マトンの肉詰め, ハッシュド・マトン, ビーフ(またはマトン)のモツ焼き, マトンのミートパイ, マトン(またはビーフ)カレー, ラム肉のスペアリブ, マトンとカボチャのブレディ*, マトンとキャベツのブレディ*
 *ブレディ(bredie) とは南アフリカのシチューのようです)
■デザートなど20種
ジャガイモ入り生地のアップルパイ, ジャム・ローリー・ポーリー, アップル・プディング, ミルク・タルト, レッド・クローベリー(empetrum rubrum)のパイ, ジャガイモのプディング, レーズンのプディング, レーズンとジャガイモのプディング, セイラーズ・キャップ(ジャム入りクッキー),  フライド・スイート・ケーキ(レーズン入りドーナッツ) ひし形のホットケーキ, カボチャのパイ, ジャガイモのゆで団子など。


 ハッシュド・ロブスター
トリスタン・ダ・クーニャ特産と言えばロブスター。 しかしこの本では一品しかロブスターを使った料理が扱われていません。 その唯一の料理はハッシュド・ロブスター。 どういう料理だろうと思うかもしれませんが, 材料と作り方から見ると, 衣を着ける前のポテト・コロッケの具にロブスターが入っているという感じでしょう。 言い換えると衣を着けてフライにすればロブスター・コロッケになるわけです。 
それではそのレシピを紹介します。 掲載されている分量の10分の1にしています。 一人前くらいに相当するかと思います。
  • ロブスタ(可食部)50g  
    ※トリスタン産の冷凍ロブスターはジャパン・ユナイテッド株式会社からオンラインで注文できます。 可食部以外を含めて1尾約250g
  • ジャガイモ   100g
  • タマネギ    20g
  • バター(またはマーガリン)  小さじ1
  • 牛乳     小さじ1
  • クッキング・オイル 適宜
  • 塩・コショウ   適宜
1 ジャガイモをマッシュポテトにする。
2 ロブスタはぶつ切り, タマネギはみじん切りにしてオイルで炒める。 
(注意) 日本で手に入るトリスタン産のロブスターは現地の加工工場でゆでて冷凍してあります。
自然解凍させて殻から身を取り出してから料理します。 解凍するときにゆでることは禁物です。
3 1に2を加え, バター, 牛乳を入れて混ぜ, 塩・コショウをして味を調える。


 レーズンとジャガイモのゆでプディング
 この本の中で気を引くのは下の写真にあるブディング。 まるでおにぎりのようですね。 
プディングは多くの場合, 蒸して作りますが, このプディングのユニークなのはキャラコで作った布袋(写真一番下)に入れ, 麻ヒモで口をしっかり結わえ, お湯の入ったなべでゆでること。 
  もっとも boiled pudding で検索すると結構ヒットするので, 珍しい作り方でもないようです。 特にオーストラリアやニュージーランドのクリスマスに作られることが多いようですが, トリスタン島の場合は, 非常に素朴な味付けでいかにも孤島の料理となっています。

布袋と長時間(2,3時間)もゆでるという手間隙が必要な料理。 この料理を作ろうと思われる方がおられるかわかりませんが, 一応レシピを書いておきます。 
  • マッシュポテト 800g
  • 小麦粉     400g
  • 塩       小さじ1
  • レーズン    200g
1 材料を混ぜて円錐形にする。
2 布袋をぬらし 1 を入れる。
3 熱湯の入ったなべに 2 を入れて2,3時間ゆでる。   
(常に 2 は熱湯の中に沈んでいる状態にしておく)
 テディ・ケーキ(じゃがいもケーキ)
 もう一つ島の男たちが野外で作る料理を紹介しましょう。 
材料や作り方から見てお分かりのように「じゃがいものお焼き」です。 これにジャムやコンデンスミルク, シロップ, ベーコンや肉などを添えて食べるようです。
 
(16枚分)
  • ジャガイモ        1kg
  • 小麦粉         500g
  • 塩            小さじ2
  • クッキング・オイル   適宜 
  • 水            適宜
1 なべに水と塩を入れ, 皮を剥いて適当に切ったジャガイモを入れ煮る。
2  1をマッシュポテトにして少し冷ます。
3  2に小麦粉を加え生地を作る。
4  小麦粉(分量外)を撒いたまな板の上で円錐形に丸めて16等分にする。
5  4 を直径7センチほどの円形にする。
6  フライパンにオイルを入れて3,4分焼く。


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