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z055 (07月19日) hat を使う慣用句(3)


as mad as a hatter  「とても気が狂っている」


直訳: 帽子屋と同じくらい気が狂っている


1837年ごろから使われ始めた慣用句。 「狂っている」を意味する直喩表現は他に as mad as a March hare 「三月ウサギのように狂っている」 as mad as a buck 「雄ジカのように狂っている」 as mad as a wet hen 「濡れたメンドリのように狂っている」などもあり, このうち March hare と hatter は, ルイス・キャロルが『不思議の国のアリス』(1865)の中に登場するキャラクタにしたことは有名です。

"In that direction," the Cat said, waving its right paw round, "lives a Hatter: and in that direction," waving the other paw, "lives a March Hare. Visit either you like: they're both mad." "But I don't want to go among mad people," Alice remarked. "Oh, you can't help that," said the Cat: "we're all mad here. I'm mad. You're mad." "How do you know I'm mad?" said Alice. "You must be," said the Cat, "or you wouldn't have come here."
「あっちの方向には」ネコは右の前足を回しながら言いました。 「帽子屋が住んでおる。 それからあっちの方向には」 もう片方の前足を回しながら言いました。 「三月ウサギが住んでおる。 好きな方を訪れなさい。 両方とも気が狂っておる。」「気の狂った人といっしょになんかなりたくないわ。」 アリスは言いました。 「しょうがないだろ。」 ネコは言いました。 「ここにいる我々はみんな狂っているんだから。 私も狂っている。 お前も狂っている。」「どうして私が狂っているなんてわかるの?」 アリスは言いました。 「そうにちがいない。」 ネコは言いました。 「そうでなければここに来なかっただろうからな。」 (私訳)





フランス語には travailler du chapeau 「帽子を加工する」 という慣用句があり, 「気が狂っている」を意味します。 これは昔, フェルトの帽子を作るときに硝酸第1水銀で獣毛を帽子に接着させたため, その蒸気を吸って帽子屋が水銀中毒になったと言う悲惨な労働環境から生まれた慣用句です。 これから fou comme un chapelier 「帽子屋のように狂っている」と言う慣用句もできて, それを英語にしたのが as mad as a hatter です。

 



ところでUrban Legend というサイトによると, ルイス・キャロルは mad hatter 「狂った帽子屋」を, 実は mad adder 「毒蛇」の意味で使っているのだという説を紹介しています。 mad はイギリスの方言で「毒のある」という意味があり, hatter は adder 「ヨーロッパ産のマムシ」の崩れた形であると見ています。 しかし, 上の『不思議の国のアリス』の引用を読むと mad は「毒がある」ではなく「気が狂っている」ととるのが自然なので, mad hatter は as mad as a hatter の慣用句を踏まえて作ったキャラクタとしてとらえていいのではないかと思います。 ただルイス・キャロルがこれに mad adder を掛けている可能性はあるかもしれません。