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アトランダムに単語を選択, 時に学校英語・受験英語的に, 時に語源や他言語との比較などを通してトリビアにアプローチ。 しかも気が向いたときだけ更新して行く--だから気まぐれ英単語。 
でも単語暗記の手助けになると思います。 兄弟版ひとことENGLISHへと同様,ご活用ください。
(中)は中学生レベルの語, (高)は高校生レベルの語, (般)はその他の語を表します。

                
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059 (般) (04月24日) gin 「ジン」 brandy 「ブランディ」


前回は隣国オランダへのゆがんだ思いから生まれた英語表現をいくつか載せました。
そのいくつかを見ると,イギリス人はオランダ人を飲んだくれと見ている節があることがわかります。
実際にオランダ人が飲んだくれなのかどうか, ここで OECD による主要国の一人あたり(15歳以上)の年間アルコール消費量の統計(2004年)を見てみましょう。
2000年の消費量の多い順に並んでいます。 単位:リットル。
国 \ 年 1970 1980 1990 2000
ルクセンブルグ 15.6 -- 14.7 14.9
アイルランド  7.0  9.6 11.2 14.2
ポルトガル -- 14.9 16.1 13.0
ハンガリー 11.5 14.9 13.9 12.3
チェコ -- 11.8 11.3 11.8
スペイン 16.8 18.5 13.5 11.7
デンマーク  8.6 11.7 11.7 11.5
オーストリア 13.9 13.3 12.6 11.3
スイス 14.2 13.5 11.1 11.2
フランス 16.8 16.1 12.7 10.5
ドイツ 13.4 -- 13.5 10.5
イギリス  7.1  9.4  9.8 10.4
ベルギー 12.3 14.0 12.1 10.2
オランダ  7.7 11.3  9.9 10.0
ギリシャ -- 13.2 10.7  9.4
韓国 -- --  9.1  8.9
イタリア 18.2 13.2 10.9  8.7
フィンランド  5.8  7.9  9.5  8.6
アメリカ  9.5 10.3  9.3  8.3
日本  6.9  8.1  8.9  8.2
カナダ  8.7 11.1  9.2  7.7
スウエーデン  7.2  6.7  6.4  6.2
アイスランド  3.8  4.3  5.2  6.1
ノルウエー  4.7  5.3  5.0  5.7
メキシコ --  3.5  4.9  4.6
トルコ  1.1  1.8  1.4  1.5
これで見ると, 決してオランダは飲んだくれの国ではなく, イギリスとどっこいどっこいという印象を持ちます。 いやむしろ18世紀半ばのイギリスの方が飲んだくれの国だったと言えるでしょう。

左のエッチングはイギリスの風刺版画家ウィリアム・ホガースの有名な作品 Gin Lane (1751年)です。 「ジン通り」と名付けられた通りには酒に浸り育児を忘れた女(脚には何やら怪しい出来物ができています)や死に至るまで酒を飲んだらしい放浪音楽家, 狡猾そうな商人から酒を買う労働者, そして無数の酔っ払いがおり, 背景の家には首吊り自殺体までも見えます。 
誇張されているとは言え, 当時のロンドンの下層階級の生活がアルコールによって退廃し由々しい状態にあったことを伝えており, この作品は国民に大きな衝撃を与え, これがもとでアルコールの販売を禁止する法令(Gin Act) が国会で成立したのでした。 
これはまたアルコールに代わって嗜好飲料として茶をが選ばれ, イギリスが世界有数の茶の消費国になるきっかけにもなったできごとです。


さてその gin は元をたどればオランダに行きつきます。 
スペイン継承戦争(1701-14)でイギリスはオランダを支持しイギリス兵がオランダ(ネーデルラント)に出兵していました。 その兵士達はオランダ人が飲んでいたセイヨウビャクシン(juniper berry )というヒノキ科の木の実を風味付けにした genever [ゲネベル]*と名付けられた酒を知り,故国に持ち帰ります。 genever は juniper のオランダ語ですが, たまたまスイスの都市ジュネーブ(Geneva) と綴りが似ていたためイギリスでは「ジュネーブの酒」 geveva と呼ばれ人々の間で人気を得ました。 その人気は高く juniper 以外の同じような酒造のしかたの酒類も出始め, これらに対してもやがて短く gin と愛称がつくようになるほどだったのです。
*現代オランダ語では jenever と綴り[イェネベル]と言うようです。


英語にはもう一つオランダ語が起源のアルコールがあります。
それはブランディ(brandy)。 こちらの方はジンより古く17世紀には文献に見られます。
ブランディはワインや他の醗酵したフルーツ酒を蒸留して作った酒で, オランダ語の brandewijn [ブランデヴェイン]と呼ばれていたものを英語で brandywine としたのが元です(1620年ころ)。
オランダ語の brande は英語の burn と同源の「燃やす」という意味の branden の過去分詞形の変形です。 つまり brandewijn とは「燃やしたワイン=火で蒸留したワイン」ということです。 
英語の brandywine はやがて wine が取れて1650年ころには brandy と呼ばれるようになりました。


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