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ぶらりボキャブラ散歩
ほぼ日替わり 気まぐれ英単語 


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アトランダムに単語を選択, 語源や他の外国語との比較を中心に, 時にトリビアに, 時に学校英語・受験英語的に, 時に連想暗記術風にアプローチ。 しかも気が向いたときだけ更新して行く--だから気まぐれ英単語。 
兄弟版ひとことENGLISHへと同様, 日々の勉強の息抜きにご活用ください。
(中)は中学生レベルの語, (高)は高校生レベルの語, (般)はその他の語を表します。

                
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052 (般) (04月16日)  coach   「(スポーツの)コーチ」


日常使っている外来語のルーツをたどると意外な発見があったりします。 コーチもそんな語の一つです。
日本語のコーチは英語の coach からの借用で, たぶん野球の伝来とともに日本語になったのだと思います。 そして英語の coach 自体はハンガリー語の Kocs (コチュ)という村の名前が語源です。



左上はコチュ村の村章。 村名の語源である kos(コヒツジ) と乗り合い馬車が描かれている。


ハンガリーの北部でスロバキアの国境まで20キロ程度のこの村の2001年の人口は2,651人。 上のハンガリー国内向けの地図を見ても見落としてしまいそうな小さな村です。 
しかし16世紀の初め,ハンガリーが王国とオスマントルコ領地に分かれていたころ, この村はさしずめ今で言うデトロイトか豊田といった趣きでした。 この村で荷馬車を改良して作られた乗合馬車が評判を呼び,ヨーロッパ大陸じゅうに普及して行ったのです。


村の誰がこの乗合馬車を発明したはずですが16世紀のこと, 市井の発明家の名前など記録することはありません。 個人名は残っていませんが, 村の名前の方は荷馬車の名として諸言語に伝えられました。  ドイツ語の Kutche フランス語の coche そして英語の coach がそれです。 現代ハンガリー語でも kocsi というと車両を意味するようでイメージ検索をすると現代的なワゴン車に混じって, この16世紀のワゴン車の姿を見ることができます。


英語の coach は大型の乗り合い馬車(1556年初出)から, 鉄道の時代になると車両の意味に使われるようになります(1866年初出)。  大西洋を渡ってアメリカ新大陸の開拓時代には「各ステージ(駅)までノンストップで行く乗り合い馬車」という意味の stagecoach=駅馬車 (イメージ検索)へと受け継がれます(1658年初出)。 


さてではスポーツのコーチとこの乗り合い馬車がどうつながるのでしょうか。
これは1830年代にイギリスのオクスフォード大学の学生のスラングで, 受験勉強の家庭教師を coach と読んだことに端があります。 乗合馬車が目的地に乗客を連れて行くというように生徒を合格に導く―という意味のようです。 この coach が1860年代にスポーツ界に転用されチームや個人を優勝に導く指導をする人という意味になったのです。


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