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アイスランド語独学ノート 

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アイスランド語の例〜ネットから収集して(1) 


ここではネットから集めているアイスランド語の文を載せます。


まず幼児向けのサイトにあった遊戯歌。 ただ歌詞しか掲載されていなかったのですが, おそらく英語の Head Shoulders Knees and Toes の借用だと思います。 体の部位を両手で指しながら歌って行きます。 アイスランド語の体の部位を表す語もいっしょに覚えられます。


メロディはこちら。 ただし英語版のメロディのためアイスランド語で歌う場合, 音が合わない部分があります。 例: 英語は出だしが Head shoulders knees and toes の6音節ですがアイスランド語は7音節です。
Höfuð, herðar, hné og tær,
hné og tær          
Höfuð, herðar, hné og tær,
hné og tær
Augu, eyru,
munnur og nef
Höfuð, herðar, hné og tær,
hné og tær


Hnakki, kinnar, haka, háls
haka, háls
Hnakki, kinnar, haka, háls
haka, háls
Bringa, magi,
bak og rass
Hnakki, kinnar, haka, háls
haka, háls
頭 肩 膝 と 足指
膝 と 足指
頭 肩 膝 と 足指
膝 と 足指
目 耳
口 と 鼻
頭 肩 膝 と 足指
膝 と 足指


うなじ ほほ あご 首
あご 首
うなじ ほほ あご 首
あご 首
胸 腹 
背 と 尻
うなじ ほほ あご 首
あご 首
発音の目安
アイスランド語のアクセントはふつう第1音節にあります。
höfuð [ホヴズ]   ö はドイツ語と同じ。 母音にはさまれた f は[v]。 u はドイツ語の ü をわずかに広げて発音。 ð は英語の this の[ð]。  [ð]の無声音(think の th)は þ で表す。 (例: þrír = three )
herðar [ヘルザル] e は[広いエまたはエー]。  r はせんどう音(trilled "r")。 しかし語尾の -ar -ir -ur は中国語やチェコ語のアクセント記号付きのr を無声音にしたような音。
hné [フニェ] hn は[hn]  cf knee。 é は[je]
og [オ] デンマーク語と同じ。
tær [タイル] 語頭の t はデンマーク語と同じく有気音。 æ は[ai]。
augu [オユグ] au は[öy]。 ここの g は喉奥から出す[グ]。
eyru [エイル] ey は[エイ]
munnur [ムヌル]
nef [ネーヴ] 語尾の f は半有声の[v]。
hnakki [フナフケ] フナッキではない。 -kk- は軽く[h]をだしてから[k]を発音。 -i- は[エ]に近い。
kinnar [ケンナル]  語頭の k はデンマーク語と同じく有気音。
haka [ハカ]
háls [ハウルズ] á は[au]
bringa [ブレンガ]
magi [マーィエ]  母音+gi または gj は[母音+j]
bak [バクフ] k の後に有気音。
rass [ラス]


                        


次はKrummi krunkar úti 「カラスが外で鳴いている」という名の民謡です。 あるCDの30秒視聴で聞いてもおつりが来る短い曲です。  曲はこちら(メディア・プレイヤ)


単純で明るいメロディですが, 詞の中身は不気味です。 グリム童話やマザーグースの歌の中にも気味の悪いものがありますが, これはゲルマン系の伝承物の特徴なのでしょうか。


Krummi krunkar úti,
kallar á nafna sinn
"ég fann höfuð af hrúti
hrygg og gæruskinn.
Komdu nú og kroppaðu með mér,
krummi nafni minn
Komdu nú og kroppaðu með mér,
krummi nafni minn"
カラスが外で鳴いている
自分の自分の名前と同じもの(=仲間)を呼んでいる
「私は雄羊の頭と
 背骨と皮を見つけたぞ。
 さあやって来て私と一緒につつきなさい
 私と同じ名前のカラスよ。
 さあやって来て私と一緒につつきなさい
 私と同じ名前のカラスよ」
krummi (男性名詞)  「カラス」の単数形主格
カラスは北欧神話でオーディンの使いとして登場します。 それは Huginn (記憶) と Muninn (考え)という名の2羽のカラスで9つの世界を毎朝回り, オーディンの肩にとまって見たものを伝えたと言われています。 そこから Hrafnagud (カラスの神)という言葉も生まれました。 (hrafna カラス gud 神)
krunkar  (自動詞) krunka 「カーカー鳴く」 の直説法第3人称単数現在形
úti  (副詞) 「外で」
kallar  (対格支配の他動詞) kalla 「呼ぶ」の直説法第3人称単数現在形 
á (対格または与格支配の前置詞) ここでは kalla á +対格 で「〜を呼ぶ」
nafna  (男性名詞) nafni 「同じ名前のもの」の単数形対格
sinn (所有形容詞) 「自分の」の単数形対格
ég (代名詞) 「私」の主格
fann (対格支配の他動詞) finna 「見つける」の直説法第1人称過去形
höfuð (中性名詞) 「頭」の単数形対格
af (与格支配の前置詞)  ここでは「〜からの」
hrúti (男性名詞) hrútur 「雄羊」の単数形与格
hrygg (男性名詞) hryggur 「背中,背骨」の単数形対格
og (接続詞) 「そして;と」
gæruskinn (中性名詞) 「羊の皮」の単数形対格
komdu (自動詞) koma 「来る」の第2人称単数への命令形
nú (副詞) 「今」
kroppaðu (対格支配の他動詞) 「(鳥が)つつく」の第2人称単数への命令形
með (対格または与格支配の前置詞)  ここでは与格支配で「〜といっしょに」
mér (代名詞) 「私」の与格
minn (所有形容詞) 「私の」の単数形主格


アイスランド語の面倒なところの1つは名詞に男性, 女性, 中性の3つの性がありそれぞれ主格, 対格, 与格, 属格に格変化することです。 これを無視すると意味を取り違えることがあります。
たとえば上の民謡の2行目 kallar á nafna sinn。 私は最初 nafn を見たときに「名前」と判断し「自分の名前を呼ぶ」と考えました。 「カラスが自分の名前を呼ぶ」とは何か。 「カーカー」という鳴き声からカラスとなったようにアイスランド語の krummi も「クルクル」という鳴き声から来ているのじゃないかと勝手な推理をし, 「カラスが自分の名前を呼ぶ」とは「カーカー鳴く」ということではにかと結論を出したのです。


しかし nafna という形をみたとき疑問がわきました。 この前にある á は対格または与格支配の前置詞です。 すると nafna は対格または与格ということになりますが, nafn の対格・与格は nafna ではありません。 よく見ると nafna に 所有形容詞 sinn が続いている。 sinn は男性名詞の単数形の主格と対格の形です。 nafn は中性名詞。 もし所有形容詞が続くなら次のような変化になります。
単数 複数
主格 nafn sitt nöfn sín
対格 nafn sitt nöfn sín
与格 nafni sínu nöfnum sínum
属格 nafns síns nafna sinna


改めてアイスランド語ー英語辞書を引くと namesake(同名のもの) という意味の男性名詞 nafni がありました。  この男性名詞は次のように所有形容詞も添えて表すと次のように変化します。
単数 複数
主格 nafni sinn nafnar sínir
対格 nafna sinn nafna sína
与格 nafna sínum nöfnum sínum
属格 nafna síns nafna sinna


上の民謡の nafna sinn はグレーのマスにあたるものです。 単純に nafn- で始まる語は nafn と nafni があるので混同してしまいます。 
アイスランド語の動詞や前置詞はその目的語がどの格であることを要求するか決まっています。 また形容詞は格による変化があります。 今回の場合, 前置詞 á が対格または与格支配であることと 所有形容詞 sinn が男性名詞主格・対格の形であることから, 中性名詞 nafn ではなく 男性名詞nafni の単数対格の形であることがわかりました。 このように格変化はアイスランド語を理解するには絶対不可欠なものなのです。


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