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 デンマーク語はどうですか?
Hvad med DANSK?
〜趣味のデンマーク語のススメ〜


H.C. アンデルセン作 『彗星』 注釈
アンデルセン物語より『彗星』 原文と私訳


アンデルセンの『彗星(Kometen 1872年)』はハレー彗星を題材にしてます。
アンデルセンは1805年4月2日に生まれ1875年8月4日に亡くなっていますから, 下のハレー彗星の地球接近の年(月日)と照らし合わせると1835年, 30歳の時にハレー彗星を見ている可能性があることになります。 
彗星の出現と人生を重ねるというのが『彗星』のプロットです。 『彗星』が世に出たのは1872年なので執筆もその頃であれば, 晩年の60代の終わりの作品ということになります。 それを考えるとアンデルセンはこの作品で自らの人生を振りかえったように思えます。


紀元前240年   紀元前164年   紀元前87年8月   紀元前12年10月
66年1月   141年3月   218年5月   295年4月   374年2月   451年6月
530年9月   607年3月   684年10月   760年5月   837年2月   912年7月
989年9月   1066年3月   1145年4月   1222年9月   1301年10月
1378年11月   1456年6月   1531年8月   1607年10月27日  1682年9月15日
1759年3月13日   1835年11月16日  1910年4月20日   1986年2月9日
2061年7月28日  2134年3月27日  
『彗星』の校長先生のようにハレー彗星を2回見ることができるには都合のよい年に生まれ死ぬしかありません。 アメリカの作家マーク・トウエンは1835年11月30日生, 1910年4月21日没なので, 実際は目撃することは不可能でしたがハレー彗星とともに生まれ, それとともに去っていたことになります。(生前, マーク・トウエンはハレー彗星とともにこの世を去りたいと言っていたとも伝えられています。)


途中,校長先生が「すべてのものはもう一度やって来るのです(Alt kommer igen!)」と生徒に持論を説く場面があります。 これは興味深い言葉です。 
1868年8月, アンデルセンは Kommer Aldrig Igjen! 「すべては二度と戻らない」という詩を書いています。 (後世になって Alt Farer Hen Som Vinden 「すべては風のように過ぎ去る」という別名も付けられています。) 自筆の原稿
この詩と校長先生の持論はまったく逆です。 アンデルセン本人の持論はどちらだったのでしょうか。 
1875年, 友人が他界した時, この詩を自身のポートレート写真の裏に書き添えました。 同じ年, アンデルセンもこの年に逝去します。 


Kommer aldrig igjen!
すてべは二度と戻らない


Alt farer hen som vinden,
Her er ej blivende sted.
Snart svinder Rosen paa kinden,
Smilet - og tårerne med.
すべては風のように過ぎ去る。
何もとどまるものはない。
まもなく頬の薔薇色は消える。
微笑みもそして涙も。


Hvorfor vare bedrovet?
Hen farer sorg og fortrad.
なぜ落ちこむのだろう。
悲しみだって後悔だって過ぎ去るのに。


Alt farer hen som vinden,
Tiden og mennesket med!
Alt er forsvinden - forsvinden,
Ungdom, dit håb og din ven.
すべては風のように過ぎ去る。
時もそして人も。
すべては消え去る 消えてなくなる。
若さも,希望も, 友人も。


Alt farer hen som vinden,
Og kommer aldrig igjen.
すべては風のように過ぎ去る。
そしてすべて二度と戻らない。


                      


以下は『彗星』に出てくる固有名詞などの注釈です。



デンマークはユトランド半島とその東側にある島々(シェラン島,フュン島,ロラン島,ランゲラン島,モン島,フォルスタ島,ボルンホルム島など)それに海外領土で自治政府のあるグリーンランドとフェロー諸島から成り立っています。


ロラン島(Lolland) 
最古地点で25mという平坦な島。 砂糖大根の産地。 (イメージ検索


ランゲラン島(Langeland)
フュン島とロラン島の間にあるその名の通り南北に細長い島。 (イメージ検索


スカーゲン(Skagen) 
ユトランド半島の北端, バルト海の2つの海(Kattegat と Skagerrak) がぶつかる。 絵画的な景色の町(イメージ検索)として国内外からの観光客を集める。  人口1万2千人(2004)。


シルケボルグ(Silkeborg) 
ユトランド半島の中央の人口3万8千人(2004)の町。 1861年から運航している世界最古の蒸気船 Hjejlen 号(イメージ検索)が湖の周航をしている。


オーデンセ(Odense)
フュン島の中心地で人口18万5千人(2005)のデンマーク第3の都市。 アンデルセンの生まれ故郷として有名。 。 980年代にキリスト教とオーディン信仰が混在していたが, クヌード王がこの地で殺害され(1086年)聖人になり僧院が建てられてからはキリスト教文化の中心地となる。 その後商業都市としても栄えるが1630〜35年のスウェーデン戦争で打撃を受け沈滞。 19世紀になって運河が開通し道路が整備され再び商業都市と発展する。 (イメージ検索


オーフス(Århus)
ユトランド半島東部にある人口29万3千人(2005)のデンマーク第2の都市。 古くはバイキングの定住地であったがその後, 貿易商業の都市として発展した。 オーデンセと同様, 17世紀の度重なる戦争で打撃を受ける。 疫病の流行や大火も経験するが, 北海地域とバルト海地域を結ぶ交易基地として
栄える。 Århus が現在の綴りだが, Aarhus という古い綴りが大学の名前などに残っている。 (イメージ検索


ソロー(Sorø)
シェラン島中央にあるにある人口7千人あまりの町。 (イメージ検索) 12世紀半ばに作られたデンマーク初のレンガ作りの教会とアカデミーがあることで有名。  この教会にアブサロンの墓がある。 


聖クヌード(St. Knud)
クヌード大王(Knud den Store 1018-35)のこと。 デンマーク,ノルゥエーそしてイングランドを領土にするデンマーク王国を築く。 統治下にキリスト教を広めたため, オーデンセで群集に殺害された後, 聖人になった。


怪獣リンドワーム(lindorm)
ゲルマン民族の固有の羽の生えている竜。 (イメージ検索


アブサロン(Absalon) 1128-1201 デンマーク, スゥエーデンのキリスト教化を進めた聖職者。 シェラン島中央の Kirke-Fenneslev の名門家に生まれパリ大学に留学。 卒業後フランスで教職を務め, 1158年に司教になり1161年ごろ現在のコペンハーゲン城付近に『アブサロン城』(Absalons Borg)を造り異教徒の改宗活動を始める。 1178年にスゥエーデンのルンドの大司教になる。


牧杖
司教が儀式で使う杖。 イメージ検索


パルナトーケ(Palnatoke)
Toke Pelesen の愛称。 10世紀の伝説化した人物でハラル・ブロタン王(Harald Blåtand)を殺害した人物。 ウィリアム・テルが息子の頭上にリンゴを乗せて射った話は, このパルトナーケの逸話を原形にしていると言う人もいるが, この手の話はゲルマン民族に共通にある伝説らしい。



アンデルセン物語より『彗星』 原文と私訳