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 デンマーク語はどうですか?
Hvad med DANSK?
〜趣味のデンマーク語のススメ〜


私の持っているデンマーク語の語学参考書(1)
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このページで触れている参考書
Danish - A Comprehensive Grammar (Robin Allan, Philip Holmes, Tom Lundskær-Nilesen)
Teach Yourself Danish (H.A. Koehoed) 絶版
Teach Yourself Danish (Bente Elseworth)
Danish - An Elementary Grammar and Reader (Elias Bredsdorf)


■ Danish - A Comprehensive Grammar
   (Robin Allan, Philip Holmes, Tom Lundskær-Nilesen)
語学参考書は大きく「コース型」と「文典型」にわかれます。
前者は中学校・高校の英語の読解の教科書やNHKの講座のように文章や会話を通して基本的な文法事項から徐々にグレードを上げて文法の全容を学ぶというもの。 一方後者は品詞別に文法の説明がある事典で, 1ページ目から読み進めるというより学びたい文法事項のページを参照するもの。  


この本は典型的な後者の例です。  したがって入門者向けではありません


デンマーク語は他の外国語と比べ文法は難しくなく, 英文法の知識があればその概要を掴むのに長い時間と苦労はいりません。  いきなり文章を読みながら文法を学んで行く「コース型」の参考書で学習するのが非常に有効な言語だと思います。  


逆に言うと, 少なくとも読解のためだけなら分厚い文法書は不要に思えます。 私はそう信じていたので, 「コース型」の参考書にある文法の記述で間に合わせていました。  それでも「文典型」の参考書もあってよいかと思い, 英語で書かれたこの手の本では入手しやすく, また評判のいい(そしてちょっと高価な) Routledge 社の Comprehensive Grammar シリーズから Danish - A Comprehensive Grammar を求めてみました。


まず驚いたのはその分厚さ。 628ページもあります。 私は他に Comprehensive Grammar シリーズでは Finnish(フィンランド語)とModern Welsh(現代ウェールズ語)を持っていますが, 前者が272ページ, 後者が403ページですからその2冊を足したのとほぼ同じ厚さです。 

   


ウェールズ語やフィンランド語はかなり文法が厄介な言語です。 しかしデンマーク語はこれらの言語と比べはるかに文法は易しいのに, なぜこんなに厚いのでしょうか。 


一つは執筆者が3人であること。 毛利元就の「3本の矢」の例を出すまでもなく共同作業をすれば大きな仕事がなされるでしょう。 そしてもう一つは, 非常に細かく詳しい文典であること。  活用変化が少なく時制が単純で語順も英語とあまり違いがない, つまり英語を母語とする人々からすると文法が簡単である分, 語法的な部分の説明にページを割いている印象があります。  たとえば語法的要素の高い前置詞に80ページ, 不定代名詞に28ページ割いています。  また数は多くありませんが, 同音異義語や英語の多義語の動詞に対応するデンマーク語の動詞のリストを載せたり, 句読法に11ページも割いていたりしているのも分厚い本になった別の理由と言えるでしょう。  
アンデルセン童話の原文を読むとピリオドとカンマとセミコロンが明確な区別がなく使われていて読みづらい印象を持ちました。  日本人から見るとピリオドとカンマの使い分けは簡単に見えますし, ふつう学校の英語の授業で句読法は扱いません。 しかし欧米人にとって句読法はりっぱな学習対象のようです。 


ともかくデンマーク語を真剣に勉強したいというのでしたらぜひ用意して損はない参考書だと思います。 本棚の飾りとしても格好いいですし。。。


                      


■ Teach Yourself Danish (H.A. Koehoed)  絶版


今から30年前, 大学に入学した私は忽然と英語以外の外国語に関心を持ちました。 英語はまあなんとか行けると自負していたのでそれ以外の外国語も知りたいと思い始めたのです。 それで何か参考書はないかと通学途中にあった総武線の御茶ノ水駅で降りて坂を下り, 当時ぼろぼろだった三省堂書店の2階の洋書売り場に行って見つけたのが Teach Yourself シリーズ。 


Teach Yourself Maltese,  Teach Yourself Afrikaans,  Teach Yourself Serbo-Croatian  等々, 初めて見る外国語を見て私はこの語学自習書にとりこになってしまいました。 買いはするけど全部読むわけではない― 場合によっては数ページ読んで後は本棚で眠ったまま― という参考書によくあるパターンになりながら, 次から次へと買いあさって行ったのです。


何冊も集めて行くうちに, 同じシリーズでも, 著者によって質が違うことに気付くようになりました。 参考書は自分に理解力がないからわからない, 自分に忍耐力がないから途中で投げ出してしまうのではなく, 著者に責任のあることが往々にしてあるものです。 一方, 何度も何度も読み返す半ば愛読書化する参考書もあります。 その一つが H.A. Koefoed の Teach Yourself Danish (1958年初版:1967年改訂版 現在絶版)。 


中学校・高校でまじめに教科書を使って英語を勉強してきた方なら, 抵抗感のなく使えるテキストと言えます。 つまり文章(時に対話)があって, その下に新出語句があってという感じです。 訳はありません。  そして音声の副教材もありません。 かつて Lingaphone から出ていたようですが未確認です。


読解中心の古典的な語学書の形態を取っているものの, その文章は口語的で内容もデンマークの日常生活や文化がわかり飽きさせません。 各文章ごとに語彙集をつけ, 関連語句や表現も添え, また随所にことわざや決まり表現も載せて学習者の便宜を図っています。 そして何より優れているのは, 各課の文法説明とはまた別に本の後半を品詞ごとにまとめた文法の解説にあてているので, 読解を通してばらばらに身につけた文法を体系的に構築し直すことができることです。


もし古本(ネット上には海外の古本屋のオンラインショップが結構あります)で手に入るなら購入しておいても良いかと思います。
Amazon.co.jp でしたらマーケットプレイスで見つかることがあります。




日本からも購入できる海外の古本屋の例
Abebooks
Alibris
アメリカ Amazon.com


                      


■ Teach Yourself Danish      (Bente Elseworth)


残念ながら H.A. Koefoed の Teach Yourself Danish は絶版になっており, 現在の Teach Yourself Danish は Bente Elseworth の著によるものに変わっています。 こちらは文章はほとんどなく会話中心で, CDまたはカセットによる音声教材もあり, 実用的なデンマーク語が身につくようになっています。
1課から18課まであり, 一つの課は4つの会話, 対話に関連した文化背景や語彙の補足説明, 会話表現, 文法(Language Pattern と称している), 練習問題, 補足的な会話から成り立っています。


悪くない教材ですが, いくつかの点で不満があります。
  1. 最初の Pronunciation の章はかなりお粗末です。  デンマーク語の単語を個々に発音せずに例えば long "ø" as in "høne" という具合に英語の説明の中に入れて録音していることです。 これではデンマーク語の音だけを聞いたり発音練習したりできません。 しかもその例は1語だけ。 デンマーク語は発音が難しいのでもっとここにページを割いてほしかったところです。 
  2. 1に関連しますが, すべての単語に発音記号がありません。 最初の Pronunciation の章にさえありません。 おそらく読者は発音記号など表記してもわからないだろうとタカをくくっているか, 発音記号を添えるのが面倒だったかでしょう。 発音が難しい言語なのだから発音記号付きの単語リストを作るべきでしょう。
  3. 文法を体系的に知ることができないこと。 文法の説明の項を grammar という言葉を使わずに Langauge Pattern としたことからわかるように, 文法をなるべく避けて「文法アレルギー」の読者に拒絶反応が出ないようにした編集のようです。 
    各課を追って積み重ねて勉強して行くタイプの自習書なので鳥瞰図的にデンマーク語の文法全体が見えず, 「木を見て森を見ず」という状態に陥る可能性があります。 この点は H.A. Koehoed が優れていた部分です。 本格的にデンマーク語を学ぶには, もう1冊, 文法書がある方がよいでしょう。
  4. 実用重視の会話デンマーク語の教材なのでしかたないでしょうが, 会話一辺倒で深みがありません。 語学はたとえ会話ができるようになりたいと思っても読むことなくして上達しません。 この参考書はこれが極端に欠けています。 この点でも読む楽しさがあった H.A. Koehoed と対照的です。

欠点はあるのですが, 値段の割りに中身が充実していてお買い得です。 日本語の入門書で一通り勉強したら, Teach Yourself Danish で勉強し直すと効果的だと思います。



左 1970年第8刷の Teach Yourself Danish  30年ほど前に買ったものなのでボロボロ。
右 現在の Teach Yourself Danish  CD2枚付き。
 


なお Teach Yourself シリーズ全体に言えることですが, 一つの言語に幾つもの Teach Yourself があることが多く, 購入する際には気をつけなくてはいけません。 Teach Yourself Danish もアマゾン(Amazon)のサイトで見ると常時, 10冊以上のタイトルが見えます。 これは英国版と米国版の2種類が日本では売られていることと, テキストだけ, カセットテープだけ, CDだけ, テキスト+カセットープ, テキスト+CD の5種類があること, そしてH.A. Koehoed版(絶版)とBente Elseworth版の両方がある上, タイトルに Basic Danish : Complete Course やら A Complete Course for Beginners やらと付いているのがあったりして非常にややこしいライン・アップになっているためです。


現実は現在は Bente Elseworth 版が1種類あるだけで, それがテキストだけなのかカセットまたはCD付きなのかの選択の余地しかありません。 間違ってもいくつも注文してしまわないようにしましょう。 

本のみはこちら 本+CDはこちら




                      


■ Danish - An Elementary Grammar and Reader
   (Elias Bredsdorf)


これは1958年に改訂して以来そのまま版を重ねている参考書です。 それは評判がいいからでしょうか。 そうとは思えません。 結論から言うとこの本は買わない方が良いでしょう。  値段も高いですし。







  1. 古すぎます。 1958年以来中身が全く同じ。 昔の語学書はこうだったと言うのがわかる貴重な資料(?)とも言えます。  極端に読解中心で会話については Special Idioms として10のあいさつ, 14の感謝の表現, そして10の丁寧な表現というのがあるだけです。
  2. 答えがありません。 文法にある練習問題も, 最後にある作文問題も, ただ問題があるだけです。 
  3. 読解の部は興味深い文章もあるのですが(もちろんアンデルセンもありますしキルケゴールの文もあります)極端に古い文章だけしかないのは残念です。
  4. 作文問題が難しすぎます。 ケンブリッジ大学やロンドン大学の1947から51年の試験問題を初学者に解けなんてそれはあんまりです。 万一解いたとしても模範解答がないので正しいのかどうかさえわかりません。


独学者向けではなく大学のテキストと思ったほうがよいでしょう。  だからだれか先生と共に使うのなら問題はないはずです。 


(蛇足) 
怒りに狂った拍子に Amazon.com のカスタマーズ・レビューにも書いてしまいました(汗)


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