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  単語集で覚えるのは有益ですか。もし使うなら何がいいですか。


 単語は覚えては忘れる宿命にあります。 暗記テストがあるので前日とか試験直前にその場しのぎで単語集を『詰め込み学習』しても翌日には9割方忘れてしまっているということはだれでも経験することです。 1回単語集で覚えたつもりでも多くは忘れてしまうものです。どの単語集を使うにしても、繰り返して使う必要があるのは言うまでもありません。


中学生の場合。学校の教科書をしっかりやることを最優先すべきです。私立高の中にはとんでもない単語を語注なしで長文中に出すところがありますが、それは今の時代、少数派。 一世代前との違いは読解問題の文は2倍3倍の長さになったのに、妥当な語が使われていて語注も多くなっている点です。 
 ただそれでも教科書の単語だけでは不足です。 
 多くの高校受験生が塾に通うなり問題集で勉強するなりするので、そこに出てきた単語をこまめに自作の単語集にして行けば、わざわざ市販の単語集を買う必要はないでしょう。 あればあったで良いですが。
 ただ同じ中学生でも中高一貫の私立校の場合,入試勉強をしない分、案外単語力がないことが多いのです。 そういう生徒は単語集で別に勉強しておいた方が身のためです。

 次いで大学入試を念頭においている高校生向けの場合。
 本来高校生も学校の教科書をしっかり勉強するのが先決です。 中学生と同じくきちんと教科書の単語を暗記して、それに問題集や副読本などの単語を付け足せば単語集は不必要です。しかし高校生も忙しいですからね。 中学と違い通学時間もかかることもあるでしょう。そんな忙しい合間を縫って英語を自習するには単語集は手ごろかもしれません。
  では具体的にいくつかよく見かける単語集をあげてみます。 

 まずロングセラーの旺文社の『ターゲットシリーズ』を見てみましょう。
 単語集というと昔は同じく旺文社の『赤尾の豆単』でしたがこの『ターゲットシリーズ』はこれを継承する旺文社の顔的参考書です。
 『赤尾の豆単』がABC順に編集してあったのに対し、こちらは試験に出る順に編集してある違いだけで、いずれも典型的は詰めこ型の単語集。よく出る順というだけでほとんど脈絡なく単語がただ並んでいます。 
 さて、この『ターゲット』シリーズは『ターゲット1900』と『ターゲット1600』があります。 前者の方が収録された語のレベルが高いのですが, 両者とも2001年秋に改訂版ができ, だいぶまともになりました。 このページで以前書いた、旧版の欠点はかなり改善されています。
 それは
(1)例文を添えている。
(2)最近の高校生の学力や入試の問題に合わせて単語を選択してある。
(3)活字を大きめにしたり、色刷りを多用したり、1ページあたりの語数を減らしたりして、勉強しやすくしている。
 などです。
 以前は個人的にこの単語集にかなり批判的でしたが、今回の改訂版ならお勧めできます。


 が, 『1900』の方はすべての受験生に勧められるわけではありません。 学校の教科書レベルはほぼ完璧にマスターした受験生のみが使ったほうが良いです
基本的な語がかなり抜けているので, センター試験程度の語彙が必要な場合は, かえって障害になります。 


一般的な, ほとんどすべての受験生に勧められるのが姉妹版の『ターゲット1600』の方です。  以前の版では「どうしてこの語を入れたんだろう」というのが所々見られましたが, だいぶ現実の大学受験にあうような語の選択がなされています。 


 単語の暗記には、語法(その語の使い方)とか語源とか派生語のように記憶の手助けになる情報が必要です。『ターゲット』には反意語とか派生語の形でそれを載せていますがこれだけではちょっと不足。ごま書房から『合格英単語600』とか言うのはこの記憶の手助けになるように、その単語の出題の仕方みたいなのを添えているのが特長です。 しかも見出し語一つに一つの意味しか載せていません。 例文もなし。 あくまでもメモ的な単語集です。これはこれでとりあえず入試勉強をしようという受験生には応急手当として薦められます。 ただ『東大入試でもこれだけで十分』というキャッチコピーはねえ・・ (「なんか惹かれるのだけどそれって本当に効果あるの?」と思わせる点では英語の参考書とコルゲンコーワの惹句って共通したものを感じるのは私だけでしょうか。)

 単語集の中で最近Z会の『速読英単語シリーズ』がよく売れていますが、文の中にある語を覚えていくという、学校の教科書にある単語を覚えていくのと同じ最もオーソドックスな方法を採用しているに過ぎません。 それでも、こちらの方が脈絡なく単語を詰めこむ『ターゲットタイプ』の単語集よりはよほどましです。
 ただこの『速読』は教科書の単語を暗記するのが苦手な場合は同じ効果しか期待できません。その文中では単語を覚えたつもりでも別の文中に出たときその意味がよみがえらなくては、それこそ意味がありません。 長い目で見ればこの手の単語集も脈絡なく単語が並んでいるのに過ぎないからです。 


 これらと違って単語を品詞別にし、さらに意味から語を分類(例えば伝達に関する名詞、感情を表す形容詞、往来に関する動詞のように)して編集した単語集があります。桐原書店の『完全征服シリーズ』が代表的なものです。
 これなら掲載されている語の間になんらかの関係があるので比較的多くの語をイッキに覚えるには都合がいいのです。 この手の単語集は例文とかチェックテストがあるので自学するさいに活用できます。 また学力に合わせてシリーズ化されている点も実用的です。 ただ受験学年になってから始めるには量が多すぎどちからというと不向きです。高校1,2年からコツコツと勉強して行くタイプの単語集です。
 
Duo(デュオ)シリーズ』は国立・私立を問わず,大学入試向けの単語集ではありません。 この単語集で大学受験の勉強をするのはお勧めできません。 単語集で一番大事なのは収録されている単語の選択とその配列ですが, この単語集はこの点で不合格です。 なぜ pillar (柱)なんて単語が本の初めの方にあるのか理解に苦しみます。 どの単語が重要で重要でないか判断のつかない受験生は単語集にある語をとにかく覚えようとするでしょう。 その際, 無駄な語を省き, 効率的に,また継続して勉強できるように配慮するのが単語集の使命です。  この単語集はこれを全く無視しています。 
本のタイトルに ver.3(バージョン3)などとつけるあたり, 電脳時代の単語集を思わせていますが, 人間の頭は「コピー&ペースト」できません。 この単語集は現実の人間(大学受験生)を知らないで作られているといってもよいでしょう。 
表紙裏にびっしり書かれた惹句を読むと, 買ってもいいかなと思ってしまいますが, やめた方が懸命です。


 

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