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| ze29 | 【EUROPEAN POPS SERIES】 Catherine (Daniele Vidal) カトリーヌ (ダニエル・ビダル) |
1970 |
| 『カトリーヌ』はポール・モーリアとアンドレ・パスカルとアンドレ・ボルリィ。 このコンテンツをご覧の方でポール・モーリアを知らないでしょう。 アンドレ・パスカルは古くからポール・モーリアと組んで曲を作っている人でアンリ・サルバドールの『ラヴァンドゥのデート(Rendez-vous
au Lavandou)』やミレイユ・マチューの『愛の信条(Mon creado)』などを書き, アンドレ・ボルリィはジョニー・アリディの Une
boum chez John などを書いています。 このようなフレンチ・ポップスの巨匠に曲を作ってもらうなんて案外ダニエル・ビダルはフランスで知れていたのだ― と考えるのは早計というもの。 これは1969年のユーロビジョン・ソング・コンテストのルクセンブルグ代表曲で, 歌ったのはロムアルドという男性歌手。 過去から現在までのユーロビジョン・ソング・コンテストの入賞曲のレコード・ジャケットを可能な限り掲載し, さらに最近のものは音源まで載せているユーロビジョンの鬼のようなサイト http://www.eurovisioncovers.co.uk/1969.htm にアクセスするとそのロムアルドという歌手のジャケットを見ることができます。 (若い頃の志村けんさんによく似ています) この年のユーロビジョンの優勝曲は4曲あってその1つはルルの『恋のブンバカバン』。 『カトリーヌ』は11位だったことがわかります。 過去ルクセンブルグ代表で優勝したのはあの『夢見るシャンソン人形』。 ルクセンブルグやモナコのような小国は自前の歌手ではなく海外の歌手を出すという, 県外出身者が占める甲子園出場校みたいな真似をしていたようです。 ちなみにここ数年は金がかかってアホらしいというのでルクセンブルグはイタリアとともにユーロビジョン・ソング・コンテストに参加していません。 『カトリーヌ』は歌だけ聞けば, かわいい歌だでおしまいになります。 しかし歌詞は案外検討し甲斐があります。 ここでは2つのこの曲の「ミソ」について触れたいと思います。 もとは男性歌手が歌っていることからわかる通り, 男性から片思いの相手のカトリーヌに歌う歌となっています。 ダニエル・ビダル版の歌詞ではロムアルド版の歌詞の「私」を「彼」に変え, 「彼があなたのことを好きだったのに(あなたって冷たかったのね)」と歌っています。 ロムアルド版にせよダニエル・ビダル版にせよ, 歌の対象であるカトリーヌを vous として歌っているところが1つ目のミソ。 英語以外のヨーロッパの言語は目上や未知の人, 親しい間柄でない人に対して使うフォーマルな「あなた」と, 目下や年少者や親しい者同士で使うくだけた「君」 の2つ持っていて, フランス語の場合は前者は vous で後者は tu です。 ふつう恋の歌は tu を使うのにこの歌では vous を使っていることから「私」とカトリーヌの間に精神的な隔たりがあることを示唆しています。 ロムアルド版の歌詞なら「私」がカトリーヌに好意を持っていながらカトリーヌは「私」を無視しているので互いに親しい関係ではないことがこれでわかります。 原詞の「あなた」はそのままにして「私」を「彼」に置き換えたダニエル・ビダル版の歌詞では, 歌っている「私」と「あなた」であるカトリーヌの間の関係がわかりませんが, よそよそしさのある関係または相手に敬意を払わなくてはならない関係と見ることができます。 この歌詞には「?」マークがつくところがあります。 歌詞には jardin d'enfants という単語が何度も出て来ます。 これは「(私立の)幼稚園, 託児所」という意味のようです。 すると最初の連 Catherine, Catherine, vous aviez dix ans Souvenez-vous, Catherine, au jardin d'enfants Je vous offrais mes tartines et mes chocolats カトリーヌ カトリーヌ 貴女は10歳だった 覚えている? カトリーヌ jardin d'entans で 彼が貴女に自分のパンとチョコレートをあげたでしょ の部分からするとカトリーヌが10歳の幼稚園児ということになってしまいます。 (ロアルド版では vous aviez dix ans が nous avions dix ans「ボクたちは10歳だった」となっているので「私」も10歳の幼稚園児となっています。) フランスの教育制度を調べてみると(図 Wikipediaより )5歳までが école materinelle (幼稚園)で6歳から10歳までが école élémentaire (小学校) 11歳から14歳が collège (中学校)のようなので, 10歳の幼稚園児というのは奇妙です。 jardin d'enfants はドイツ語の「幼稚園」を意味する Kintergarten の calque (複合語の直訳的借用)で直訳すれば「子供の園」となります。 jardin d'enfants を幼稚園とせずに「子供の公園, 児童公園」という意味なのか。 私は以前別コンテンツのためにヨーロッパの児童公園について調べて1つのページにまとめたのですが(こちらをクリック)jardin d'enfants を児童公園と見るのは難しそうです。 jardin d'enfants を幼稚園と見た場合, 考えたのが「私立の幼稚園では小学校と幼稚園がいっしょになっている?」「幼稚園が休みのときは一般に開放する?(リゾート地の幼稚園を調べてみるとバカンスや毎週休園日に mini-club と称して臨時に園児を入園されている所もあるようです)」などですが, そこまで気を回して「10歳の幼稚園児」にしなくてはいけないのか疑問に思いました。 ここは素直に「10歳の幼稚園児は変だ」ととっていいのではないかと思うのです。 そしてそれがこの歌の2つ目のミソなのかと思います。 google で「幼稚園 フランス」で検索すると「ひえ〜 小学校に上がれない」と称するページがあることがわかります。 極端に言えば小学校で勉強する過程についていけなそうであると幼稚園児のまま―ということでしょうか。 それならこの歌詞のカトリーヌが10歳の幼稚園児と設定するのはうなずけます。 28歳のヤクザが高校生になるドラマもあったそうですからこれはこれでいいのかと思うのです。 (この項について情報がありましたらお知らせください) |
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