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| ze23 | 【EUROPEAN POPS SERIES】 I Like Chopin (Gazebo) 雨音はショパンの調べ (ガゼボ) |
1983 | |||
| (一部) |
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ちょっとしたきっかけで大脳の奥の方に眠っていた昔の曲が目覚めることがあります。 この曲の場合, 別コンテンツの参考に, 奇妙な綴りの英単語を集めたリストを眺めていたときがそうでした。
ガゼボがグレタ・ガルボに似ているという理由で, 私はてっきり人名だと思っていました。 しかし gazebo は「東屋」(イメージ検索)を意味する普通名詞。 辞書によると俗語で「野郎」の意味もあるようで, おそらく後者としてガゼボことポール・マッツォリーニはこの語を芸名として選んだのでしょう。 『雨音はショパンの調べ』は1980年代初めにイタリアで生まれたイタロ・ディスコと呼ばれるシンセサイザを使う英語によるヨーロピアンなダンス音楽の走り。 ちょうどサッカーのようにアメリカを除く世界各国で流行った歌で, 日本では小林麻美さんのカバーでヒットしました。 歌っているガゼボは本名ポール・マッツォリーニ。 イタリア人外交官とアメリカ人歌手の息子としてレバノンのベイルートで1960年2月8日生まれました。 パリにいたときにクラシック・ギターを, ロンドンにいたときにパンク・ロックに興味を持ってバンドを組み, 15歳のときにイタリアに帰ります。 やがてプロデューサで作曲家のピエールルイジ・ジョンビニと知り合い意気投合, 1982年に Masterpiece でデビュー。 翌年アルバム Gazebo を出しこの中にあった I Like Chopin が本国イタリアを始めヨーロッパ, アジア, カナダなどで800万枚の売上げになるヒットとなりました。 一度聞いたらいつまでの頭の中で流れている― メロディ(ピエールルイジ・ジョンビニ作曲)はヒット曲として満点ですが, 歌詞(ガゼボ作詞)はどうなのでしょうか。 ネット上で検索していったらある英語で書かれた掲示板に What is the most cheesy song you've ever heard? 「今まで聞いた中で一番安っぽくて低級な歌(歌詞)は何?」というのがあり, この歌の歌詞がコピペして貼ってありました。 そういう歌詞です。 良く言えば感覚的。 率直に言えば意味不明の語句が並んでいるだけの歌詞で強いて訳してどういう内容か知るだけの価値はありません。 この手の歌はメロディが頭に残れば良いので歌詞はどうでもよいのです。 ( 弊コンテンツの同類の歌はカルチャー・クラブの「君は完璧さ」。) もとの歌詞は忠実に訳してもしょうがありません。 言いかえるといくらでも弄れるということです。 だから各国語で良いように訳詞を付けてカバーしたものがヒットしたのでしょう。 以下最初の3つの連について見てみることにします。 第1連(verse) Remember that piano So delightful unusual That classic sensation Sentimental confusion この歌の作詞はガゼボ本人。 母親はアメリカ人ということですが, この英語を見るとわざとなのか英語が母語ではない人間が書いたエキゾチックなブロークン英語のような詞です。 気になるのが classic sensation という使い方。 英語には economic と economical, historic と historical など -ic と -ical で意味が異なる形容詞が幾つかありますが, この classic と classical もその一つで, classic は「代表的な, 典型的な, 最高級の」という意味で classical は「古典の」。 しかし他の印欧語ではこの区別がありません。 例えばイタリア語の classico, フランス語の classique, ドイツ語の klassisch , デンマーク語の klassisk, ロシア語の КЛАССИЧЕСКИЙ などは英語の classic と classical の両方の意味を兼ねています。 だから英語で classical music と呼ぶものを日本語で「クラシック音楽」と呼ぶように, 非英語圏の人間もしばしば classical music と訳すべきものを classic music と訳してしまいます。 これは classic music と検索してみてその用例の出所のURL を見るとドイツ(de) だったりチェコ(cz)だったりすることからわかります。 google による classic music の検索結果 「古典の」の意味で classic を使う例が多いのでこの意味も載せている辞書もあります。 第2連(pre-chorus) Used to say I like Chopin Love me now and again Wow wow wow 1,2行目「昔ボクはショパンが好きと言った」と3行目「時にはボクを愛してくれ」のつながりが唐突で何を言いたいのかわかりません。 また歌のタイトルは chorus の部分から取るのが普通なのにこの歌は pre-chorus (人によっては bridge と見るかもしれません)から取っています。 変わっているといえば変わっているけれど単に作者が歌詞の作り方を知らなかったのではないかとも思えます。 日本語訳詞は松任谷由美さんでした。 こちらのバージョンでは chorus の最後のキメの部分が「ショパ〜ン」となっていたと記憶しています。 この「ショパ〜ン」は非常に印象的であり, 正統的に歌のタイトルとキメの部分を一致させています。 この一言がヒットした要因の一つと言えます。 しかし 原詞は Tell me where's my way の my way がそこにあたります。 同じプロでも松任谷由美さんの方が素人目にも上手(うわて)だと思うのですが, あなたはどう思われますか? さてその chorus です。 第3連(chorus) Rainy days never say goodbye To desire when we are together Rainy days growing in your eyes Tell me where's my way Rainy days が主語になっている2つの行も意味不明な部分です。 特に3行目の Rainy days growing in your eyes は変わっています。 The days と grow のコロケーションなら The days are growing longer. 「日が長くなっている」のように grow を不完全自動詞で使うのがふつうです。 しかしこの詞では Rainy days growing in your eyes と完全自動詞で使っています。 これは意味が不明な原因です。 ネットの歌詞サイトの中には growing を glowing (光る)にしているものもありました。 まだ後者の方が意味は通りますが, 聞くと growing のように思えます。 要するに詞(詩)なので文法的により感覚的に捉えて解釈しなさいということでしょう。 文法的より感覚的にという部分は最後の行にも言えます。 Tell me where's my way は学校文法的には疑問詞節なので疑問詞+主語+述語動詞にして Tell me where my way is. となるべきです。 しかし実際はこのような「文法的にだらしない」文で見かけることがあります。 もっとも Tell me, "Where's my way?" と直接話法で読めばよいのでしょう。 この曲が日本で流行ったのは作曲をしたピエールルイジ・ジョンビニと日本語の訳詞をした松任谷由美さんと, そして歌った小林麻美さんに帰すると思います。 ガゼボという人自体は, 世界中から印税とかいろいろ入ってウハウハだったでしょう。 でもそれだけの働きをしてたのかな―という気がするのです。 多少見かけで女のコの支持を受けてレコードの売上げに寄与したくらいでしょうが。 |
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