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| ze20 | 【EUROPEAN POPS SERIES】 Non ho l'età (Gigliola Cinquetti) 夢見る想い (ジリオラ・チンクエッティ) |
1964 |
| 1964年サンレモ音楽祭ならびにユーロビジョン・ソング・コンテスト優勝曲の『夢見る想い』。 これでジリオラ・チンクウエッティは『雨』『愛は限りなく』に続き, 弊コンテンツ3度目の登場です。 それで今回は彼女については触れずにこの歌の訳詞をした過程を書かせてもらいます。 タイトルにもなっている Non ho l'età は英語に直訳すれば I have no age 日本語にすれば「私には年がない」です。 さて「私には年がない」とは何ぞや? いつまでたっても年を取らない不老長寿の, 中高年憧れを歌った歌なのか? 伊和辞典を引いても熟語ということではなさそうでイマイチ意味がわかりません。 私はこのように辞書を引いても意味がわからない表現に出会うと, 英語であろうとイタリア語であろうと何語であろうと, その部分を google で検索して他の用例を見て類推することにしています。 今回は ho を不定詞 avere にして avere l'età per で検索してみました。 するとヒントになる良い用例が見つかりました。 イタリアを代表するオートバイレーサのヴァレンティノ・ロッシの自伝の抜粋です。 そこに Noi, in attesa di avere l'età per andare con le altre ragazzine della scuola, avevamo deciso di impiegare il nostro tempo scorrazzando con i motorini. という文があります。 この文を含んだ段落はこのように訳せそうです。 「中学校ではふつう男女の違いははっきりしている。 クラスメートの女の子達の方が進んでいて年上の男と付き合う。 男の方は下級生の女の子と付き合うために適当な年になるのを待たなくてはいけない。 学校のオチビさんと付き合う年になるのを待っているボクたちは,自分たちの時間を50CC以下のバイクをちょっと弄って時間を使うことにしたんだ。 」 つまり avere l'età per 〜 で「〜する年になる/なっている」(英語なら be old enough to 不定詞)と推測できるわけです。 これを歌詞に当てはめて確認すると non ho l'età per amarti (私はあなたを愛する年になっていない)となり, 当時16歳のジリオラ・チンクウエッティが歌うにはぴったりの歌ということがわかりました。 (蛇足1) 歌う歌手の年齢に歌詞を合わせたのなら日本で言えば「♪伊代はまだ16だから〜」というのがありました。 この歌『センチメンタル・ジャーニー』の作詞は湯川れい子さん。 60年代の代表的な音楽評論家ですから『夢見る想い』を知らないわけがありません。 ひょっとしてこの歌詞が頭の隅に合って『センチメンタル・ジャーニー』を作ったのでは? と私は思いますがどうでしょうか。 (蛇足2) この文章を書いたあとの情報。 イタリアの有力紙コリエレ・デッラ・セーラが2006年1月4日付けの紙面で浅田選手を取り上げていたとのことでした。 そのときのコリエッレ・デッラ・セーラ紙の記事の写真を見たら Mao è un fenomeno ma non ha l'età per vincere a Torino 「真央は並外れた人物だがトリノで勝つには年が足りない」という見出しがありました。 (ha は主語が3人称単数の直説法現在形。 英語の has にあたる) この歌は非常にシンプルです。 歌詞は下の[A][B][B'][C]の4つの連から成り立ち, これが [A][B] [C] [A] [B'] [C] [A][B'] という具合に進行して行きます。 [A] Non ho l'età, non ho l'età per amarti Non ho l'età per uscire sola con te [B] E non avrei, non avrei nulla da dirti Perché tu sai molte più cose di me [B'] Se tu vorrai, se tu vorrai aspettarmi Quel giorno avrai tutto il mio amore per te [C] Lascia ch'io viva un amore romantico Nell'attesa che venga quel giorno, ma ora no 上のイタリア語をほぼ直訳で日本語にするとこうなります。 [A] 私はあなたを愛する年になっていない。 私はあなたと二人きりでデートする年になっていない。 [B] そして私はあなたに何も言うことがない。 なぜならあなたは私よりたくさんのことを知っているからだ。 [B'] もしあなたが私を待っていたければ。 その日あなたは私のあなたへのすべての愛を持つだろう。 [C] 私がロマンティックな恋に生きるようにさせなさい。 その日が来るのを待っている状態であるが, 今はノーだ。 言いたいことはこういうことですが, これでは歌詞の訳としてはいただけません。 それで歌を聞きながら訳して行こうとしてあることに気づきました。 それはこの歌がほぼ4音節ずつで区切られていることです。 それで上の歌詞を歌っている区切り通りに切ってみることにしました。 すると例えば最初の連はこうなります。 Non ho l'età non ho l'età per amarti Non ho l'età per uscire sola con te 私は歌詞はなるべく書かれている通りの順序で日本語にすべきだと思っていますから, 上の訳をそのままこれに当てはめることはできません。 あらためて Non ho l'età 1行分の訳を考えなくてはいけません。 non ho l'età per amarti は「私はあなたを愛する年になっていない」という意味です。 それは裏返せば「若すぎてあなたを愛せない」ということです。 そう考えれば Non ho l'età を「幼すぎて」 per amarti を「あなたを愛せない」と区切って訳せば私の意図する書かれている通りの順序の日本語訳がなんとかできそうです。 しかしこのように短いブチ切りで行が変わると, 日本語の文としての語順に無理が出てきそうです。 また舌足らずな訳にもなりそうです。 が,作ってみると, これがかえって好きな人への想いを伝えようとする初心な16歳の少女の言葉に似合った訳になり, それなりにおもしろい訳詞になったように思えます。 ということで耳で聞こえるイタリア語と目で追う日本語を一致させて, 40年以上前のジリオラ・チンクエッティの『想い』を受けとめてください。 |
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