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z15    You Can't Hurry Love (Diana Ross & The Supremes)
 恋はあせらず    (ダイアナ・ロスとシュープリームス)   
1966
vs
 Sooner Or Later  (The Grass Roots)
 恋はすばやく   (グラス・ルーツ)
1971
恋はあせらず    原詞・訳詞     
恋はすばやく   原詞・訳詞
ホームページを作って公開してますと幾度となくパンツのジッパー(昔風に言えばスボンのチャックもしくは社会の窓)を開け放しで歩いてくような気分になることがあるのです。  でも慣れとは恐ろしいものでそれも回数を重ねるとさほど恥ずかしく思わなくなり, やがてそれは快感になり, わざとジッパーを降ろして「オラオラオラオラ。。」


ということで今回はダイアナ・ロスのシュープリームスの『恋はあせらず』をグラスルーツの『恋はすばやく』と間違えて掲載すること数ヶ月間, 検索エンジンに拾われたとも知らずにここまで来たのでありますが, いや, これを逆手にとって『恋はあせらず』と『恋はすばやく』を対決させるのも手だと考えた次第であります。


              


1966年のビルボード年間トップ100を見てみるとこの年が欧米ポップスの黄金期の頂点,百花繚乱の年ではなかったと思わせます。

 
ビートルズとローリング・ストーンズの2大バンドが入れ替わり代表的なヒット曲をチャートに登場させ, この合間に, ビーチボーイズ, ラビング・スプーンフルといった中堅バンドやママス&パパス, アソシエーションといったコーラス系, サイモンとガーファンクル, ドノバン, ボブ・ディランのフォーク系,  モンキーズ,ホリーズ, ハーマンズ・ハーミッツ, ゲーリー・ルイスとプレイボーイズといったアイドル系, さらにフランク・シナトラとナンシー・シナトラの父娘の「親分,姉御」系, これにボビー・ヘブ「サニー」, ロス・ブラボス「ブラック・イズ・ブラック」, バリー・サドラー軍曹「悲しみの戦場」, サンドパイパーズ「グアンタナメラ」といった一発屋がからんで, その賑々しいことは他に類を見ません。 
そして忘れていけないのが, 今回のダイアナ・ロスとシュープリームス, テンプテーションズ, フォー・トップス, オーティス・レディングなどのR&Bの面々。 


私は当時, 小学生でリアル・タイムでそのヒット・チャートをおっていたわけではありません。 今回改めてこの年のヒット・チャートを見て, 昔聞いた曲の多くがこの年に生まれたのを知りちょっと感動しました。 
 1966年のヒットチャートはここをクリック


              


さて, 片やグラスルーツ。 


グループの存在した1967年から72年の5年間, 307週間連続して29 曲のシングル盤をチャート・インさせそのうち14曲がビルボードのトップ40に入ったヒット王。 ちなみに最高は『真夜中の誓い(1968)』の5位。 日本で一番知られている彼らの曲『今日を生きよう(1967)』は8位。 そしてこの『恋はすばやく(1971)』は9位でした。
 

グラス・ルーツのルーツはダンヒル・レコードのプロデューサ, PFスローン, スティーブ・バリなどスタジオ・ミュージシャンが集まって作った架空のバンド。 
1966年に Where Are You When I Need You Most がビルボード28位になるヒットを出し, 実在するグループが必要になって選ばれたのが Rob Grill がリード・ボーカルをしていた The Thirteenth Floor というグループ。 これに Warren Entner, Creed Bratton, Rick Coonce などが加わって結成されたのがグラス・ルーツです。
スタジオ・ミュージシャンやプロデューサが寄せ集まってヒット曲を作るというのは60年代の終わりはよくあったことで, 『恋のほのお』のエジソン・ライトハウスがその例です。


ことの起こりがこのように架空バンドのダミーのような立場であった上に, メンバーの入れ替えが激しく, またボーカル担当の3人(Rob Grill,  Warren Entner , Dennis Provisor) がよく似た声質をしてだれが歌っているのかわからない, しかもコーラス部を複数のトラックを使って録音してたりする。 さらにあまりにも如才ない音作りをすることなどが原因となって, ヒット曲がたくさんありながら「顔の見えない」スタジオ・ミュージシャンの寄せ集めバンドというイメージが付き纏ってしまうのは残念です。


特に日本ではイマイチ認知度が低いですが, キャッチーなメロディとアホ臭い歌詞のラブ・ソング, メリハリの効いたリズムなど, 60年代終わりから70年代始めのアメリカのポップスを語る上で彼らの存在は重要だと私は思っています。 
その思い入れからこの『なつメロ英語』にはビートルズは掲載されていないのに, グラスルーツは『今日を生きよう』『真夜中の誓い』『百万年の想い』とすでに3曲も登場してしまったのであります。


最後に『恋はすばやく』について。
歌詞はいつもの彼ららしいノーテンキそのもの。  こういうラブソングももう百曲以上訳していると恥ずかしいと言う気持ちなど微塵もなくなり, こっちもノーテンキになって訳せるようになりました。  進歩したんだか退化したんだかいいんだか悪いんだかわかりませんが。  それから英語のように韻を踏んで訳すということもしてみました。


この歌, バック・コーラスとボーカル(Dennis Provisor らしい。 『今日を生きよう』は Warren Entner と Rob Grill が相互に歌っているようです。) のからみが面白くカッコよい曲だと思います。 特に最後のほうでバック・コーラスがリード部を歌い, ボーカルが「掛け声」担当になるアレンジで曲が盛り上がるところとか。 この感じどこかで聞いたことがあると思ったら, ああそうそう, アレサ・フランクリンの『小さな願い』に似てませんか。