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158     Sugar Me (Linsey DePaul)
   シュガー・ミー  (リンジー・ディ・ポール)

1972
     原詞・訳詞 
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毎週土曜日, 朝日新聞には Be という別刷りが付いていて来ます。 そこにサザエさんの四コマ漫画を通して昭和の世俗史を辿る『サザエさんをさがして』という連載物があります。  その2006年9月23日号は1969年のチクロ騒動がテーマになっていました。 (asahi.com よりその記事) チクロに発ガン性の疑いが出て大騒ぎになり, それが他の添加物にも飛び火したことが書かれています。


さてリンジー・ディ・ポールの自作のデビュー曲『シュガー・ミー』は,  この食品添加物騒動が日本だけでなく世界的なものだったことを教えてくれる貴重な(?)資料となっているのです。 ただしこちらはチクロではなくサッカリンが歌詞の味付けに使われています。


           


『シュガー・ミー』は, 女友達とその彼氏の間に立つ「私」が, この三角関係を終わらせて友達の彼氏を自分のものにしようと誘惑するというのが歌詞のシチュエーションです。
第2連に


   Looking sweet and all the while
   Hid behind the smile was saccharine
   I'm a go-between
   甘そうだけど ずっと
   微笑みの後ろに隠れていた サッカリン
   私は二人の間を取り持つ役目


とあります。  [人工甘味料=偽りの甘さ] から微笑みながら二人の間を取り持っている「私」の姿は偽りの姿で本当は楽しくない状態であることがわかります。 だから私に本当の砂糖の甘さをください, 幸せをくださいという意味で Sugar me (私を砂糖で甘くして)と歌っているのでしょう。


           


『シュガー・ミー』はまた, 英語の5文型の話をするのによい教材にもなり得ます。
ゴブンケー? ほら遠い昔やったでしょう。 SVOだのSVCだの。 ふつう高校入学すると最初にやる文法事項が5文型で, のっけからつまずいたりつまらなかったりして英文法が嫌になってしまうアレです。


なぜ5文型を勉強しなくてはいけないかといえば英語の動詞はこの後に何が続くかによって意味が決まるからです。 たとえば『シュガー・ミー』のブリッジの部分 


  Save me, save me
  Baby, baby sugar me


の save はSVO文型として, 
(1)この後に「金」がくれば「蓄える」「節約する」, 
(2)「時間・労力」がくれば「無駄を省く」, 
(3)「人」がくれば「救う」。  
そしてSVOO文型として
(4)「人」と「物」が並べば「人に物を取っておく」, 
(5)「人」と「労力」が並べば「人」から「労力」を省く
― という具合です。 


今回は目的語が1つ, つまりSVO文型で「人」が目的語なので「救う」が適当でしょう。 しかし, 歌い出しのキャンディか何かを分けていると思われる


  One for you and one for me
  1つはあなたに1つは私に


から Save me が「1つ私に取っておいて」 という意味合いも微妙に連想され, おもしろい言葉の選択に思えます。 (Help me としなかったのはこちらの方が音がきつくてリンジー・ディ・ポールの紗のかかったような囁き声には合わないからというのが第1であると思いますが。。。)


           


そしてもう1つ, 5文型がからむ箇所があります。 コーラスの1行目


  Gotta get my candy free
  

がそれです。 gotta は have got to (〜しなくてはいけない)の崩れた形で主語の I が省略されているので「私は get my candy free しなくてはいけない」という意味になる部分です。 ここはいいとして, 問題は get my candy free の get がSVO文型として使われているのかSVOC文型として使われているかなのです。
  • SVO文型なら get は「〜を手に入れる」 で free は「ただで」という意味の副詞になって全体で「私はただで自分のキャンディを手に入れなくてはいけない」となります。
  • SVOC文型なら get は「〜を・・・にする」で free は「自由な, ただの」などの意味になる形容詞となります。 つまり「私は自分をキャンディを自由に(ただに)しなくてはいけない」という感じになります。


この後に Sugar me 「私を砂糖で甘くして」が続きますからどれも今1つしっくりきません。  特にSVO文型としての解釈は良くないと思います。 


私の考えでは, この get はSVOC文型で free は第2連にあった「自分の甘さは隠されたサッカリンのせい」という内容から free of saccharine または saccarine-free 「サッカリンがない」 の意味に解釈するのがよいのではないかと思うのです。 つまり


   Gotta get my candy free
   Sugar me
      私のキャンディ サッカリン抜きにしなくちゃ
   (かわりに)私を砂糖で甘くして


と解釈するのです。 ただ「私のキャンディを自由にさせなくちゃ 私を甘く包んで」 とすることも歌詞としておかしくないでしょう。 というよりこちらの方が「私のキャンディ」が何であるか聞く人が自由に解釈して歌詞らしいかもしれません。


ということで歌詞の1行の意味を考えるときにも英文法は必要だというお話でした。 ここまで読まれた方, お疲れ様でした。。。


■ 他のリンジー・ディ・ポールの作品   恋のウーアイドゥ