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| 138 | Good Vibrations (Beach Boys) グッド・バイブレーションズ (ビーチ・ボーイズ) |
1966 |
| インターネットで手に入るアーチストの情報の多さ, 詳しさではビーチ・ボーイズの右に出るものはないという感がします。 それだけ熱心なファンが多いということですし, これだけ個人情報がモロに出ていると芸能人とその親族も大変やなあ, と納得させられます。 例えばビーチ・ボーイズ3兄弟の父親マーリ・ウィルソンの情報を集めてみると ■ 1917年7月2日カンザス州ハッチンソンのブリキ加工業(別資料では配管工)ウィリアム・ウィルソンと妻エディス・ウィルソンの間に生まれる。 実父とは幼いうちに別れる。 1921年母親・5人の兄弟とともにカリフォルニア州ホーソン市に転居。 (家はアメリカ軍の余剰テント。) 1938年3月26日ロサンジェルス市のワシントン高校の同級生オードリー・コーソフと結婚。 グッドイヤー(タイヤ・ゴム製造)の工員をするが仕事中に事故で左目を失う。 1942年6月20日 長男ブライアン誕生。 1944年12月4日 次男デニス誕生。 1946年12月21日 三男カール誕生。 グッドイヤーを退職後 ABLE Machinery という飛行機製造部品販売会社を設立。 ■ 若い頃は音楽で身を立てることも考え, 事実 Fiesta Day Polka, Hide My Tears などの曲を出すが不発。 作曲を手がけ, その中から 1952年 The Bachelors が Two Step Side Step を録音。 1967年 The Many Moods Of Murry Wilson をキャピトルよりリリース。 ■ 父親譲りの怒りっぽく乱暴な性格で家族内でしばしば軋轢があったらしく, ビーチボーイズのマネージャを買って出るがここでも息子達の間で衝突があり1964年解任される。 1973年6月4日心臓病で死去するが, 父子の間の亀裂は深く, ブライアンとデニスは葬式を欠席。 という具合。 メジャーなアーチストだとそれだけで「○○学」ができ「○○学者」が生まれますが,ビーチボーイズも世界中で, ビーチ・ボーイズ学者がビーチ・ボーイズ学を日々探求していると思われます。 そこでそのようなファンに敬意を払って, 当サイトでは以下のようにほんの数行で彼らの紹介は終わらせて, さっさと退散するとします。 (父親の情報だけでもあれだけ出てくるのでメンバーのバイオなど調べたらどうなるか考えただけで恐ろしい。。。)
【曲について】 カリフォルニアのサーファー・サウンドという健康的なイメージのビーチ・ボーイズが, 当時のヒッピー文化の影響を受けアシッド・ロック(というよりポップ)を手がけ成功した曲です。 1960年代はまだアシッド(=LSD)という言葉は一般的ではなく, この手の音はサイケデリック(略してサイケ)と称されていました。 そして『グッド・バイブレーションズ』は, ジェファーソン・エアプレインの『あなただけを』,ジミ・ヘンドリクスの『紫のけむり』と並んで最も知られたサイケ・サウンドと言えると思います。 ただ他の2曲が激しく破壊的な感じがするのに対し, 『グッド・バイブレーションズ』はビーチ・ボーイズのハーモニーや計算された構成から洗練された「建設的な」サイケ・サウンドという印象があります。 この1曲のために2ヶ月以上の時間と多額の費用(一説には4万ドル)をかけ, 70分以上のテープを作り, それを編集して作ったとされています。 テープの音を切り取り,つぎはぎして一つの曲を作った最初の曲だそうですが, 現代ならコンピュータ処理で簡単にこの手の音は作れるのでしょう。 が,当時は人間が演奏するアナログの世界。 それだけ手間隙がかかったはずです。 なお演奏はビーチボーイズではなくスタジオ・ミュージシャンが勤めたそうで, その中にリード・ギター担当として, 後に『恋はフェニックス』『ウィチタ・ラインマン』『ガルベストン』のグレン・キャンペルが含まれてます。 サイケデリックな雰囲気を出すため音作りも先取的な試みがなされています。 曲中に幽霊が現れる時のようなヒューという音が聞こえますが,これはときどきマスコミに登場するテルミンという楽器。 このような楽器を引っ張り出したのも実験的なことをしようという意欲が感じられます。 テルミンについて テルミンのイメージ テルミンを使う音楽の例 【歌詞について】 アシッド・ロック(ポップ)らしくトリップした世界を歌っている歌詞です。 作者のブライアン・ウィルソン自身, 実際にトリップしながら作ったらしいのですが, ビーチボーイズのハーモニーのおかげで明るく仕上がりとなり, その雰囲気がしません。 そのおかげで教会関係者,教育関係者からのお咎めもなく, もちろん放送禁止にもならずに無事1966年12月全米トップに立ちました。 タイトル中にも歌詞中にも出てくる vibrations は「揺れること」ではなく俗語で「雰囲気,感じ」の意味。 ランダムハウス英和辞典(1973年)によると「相手が考えていること,まわりの状況などから受ける感じ」で,もとはヒッピー用語とあります。 これから別の俗語 vibes が生まれたのですが,Online Etymology Dictionary によるとこちらの初出は1967年。 こちらも複数形で使います。 なお日本語の「バイブ」は vibrator で vibration(s) や vibe(s) にはヤラシイ意味はありません。 vibrations というヒッピー用語が使われている以外に, 歌詞には当時らしい言葉がところどころに登場します。 その1つは happening(ハプニング) 「ハプニング」は日本でも流行りましたね。 ハプニングというとその芸術の方向性と1966年11月9日のインディカ美術館でのジョン・レノンの出会いから, オノ・ヨーコが真っ先に連想されます。 「ハプニング」を使ったタイトルの歌に, ブルックリン・ブリッジの『恋のハプニング』(1969)がありますが原題は Worst That Could Happen (直訳:起こり得る中で最悪のこと)で直接「パブニング」という概念とは関係がない歌詞です。 2つ目は第2連の blossom world (花の世界)。 「花」といえば flower ですが, flower world としなかったのは発音するとわかりますが, 響きが良くないからだと思います。 blossomは実のなる花で flower は普通の花の違いはありますが, 「花」は西海岸に集うフラワー・チルドレンの文化の象徴としてサイケな芸術のモチーフとして使われることが多かったと思います。 また『花のサン・フランシスコ』『雨に消えた初恋』(ともに1967)など当時の歌の歌詞に flower は使われています。 また第1連1行目の the colorful clothes she wears (彼女が着ているカラフルな服)も当時流行のサイケ調の服を連想させますし, 同じ連にある hair も『花のサン・フランシスコ』『雨に消えた初恋』に見られる言葉です。 そして1967年10月にオフ・ブロードウエィ上演されたミュージカルは, まさにそのものズバリのタイトルを付けていて, この時代のポップ・カルチャーを考える上には欠かせない語と言えるでしょう。 このように『グッド・バイブレーションズ』は, もし『1960年代の音楽と社会風俗博物館』があれば収蔵資料となることは間違いない曲と言えます。 少なくとも, 「ヒット曲の歌詞を通して1960年代1970年代を振り返る」という当コンテンツのコンセプトにぴったりの曲なので掲載してみました。 |
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