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13      Abraham,  Martin and John (Dion )
  アブラハム・マーティン・アンド・ジョン  (ディオン)
1968
    原詞・訳詞  
 DION と言ってもプロバイダではありません。 ここでは1960年代に活躍したロック・ロール・シンガーのことを言います。 と言っても正直なところ私はこのニューヨーク出身のイタリア系歌手のロック・ロールというのを聞いたことがありません。 私が知っているディオンという歌手の歌は唯一この『アブラハム・マーティン・アンド・ジョン』だけなのです。 
 アブラハム・リンカーン, マーティン・ルーサ・キング, ジョン・F・ケネディの3人の暗殺された指導者の名前でわかる通り, この歌はプロテスト・ソングと呼ばれるジャンルに属するのでしょう。 歌詞の最後に Bobby という名が出てきますが, これは1968年に暗殺されたロバート・ケネディのことで, 実はこの歌は彼への鎮魂歌であるのです。
 04ガルベトンでも触れたように, 60年代末のアメリカのヒット曲には, 商業ベースでヒット曲を出す歌手が社会派的な内容の歌を歌うのがちょっと流行っていた感じがします。 日本でも従来では考えられなかったような反戦(当時はベトナム戦争の真っ只中)を歌った曲『フランシーヌの場合』が流行ったりしたことがありましたから, 社会派の詞を持つ曲が一般に受け入れられるのは世界的風潮だったのかもしれません。
 そしてまたこの曲はどこか宗教じみた感じがします。 こういう感じのヒット曲ではエドゥイン・ホーキンス・シンガーズの『オー・ハッピー・デイ』(1969年)やエルビス・プレスリーの『イン・ザ・ゲットー』(1969年)などがあり, 当時はこの手のヒット曲もちらほらチャートの上位にランクされたりしました。 
 ディオンは『アブラハム・マーティン・アンド・ジョン』で目覚めたのか, 以降, ロックン・ロール・シンガーからゴスペル・シンガーへと転向して現在に至っているようです。