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129   Just the Two of Us   (Bill Withers)
 クリスタルの恋人たち (ビル・ウィザーズ)
1981
 ←期待しないでください。  原詞・訳詞  
1971年, 青春の真っ只中にいた私は― 暗かった。。。
だからビル・ウィザースの『消え行く太陽(Ain't No Sunshine)』は心地よかった。 
しかし30代を過ぎてからパッパラパーになって崩れて行くという, 『精神年齢の逆噴射現象』を起こした現在の私が聞くと, 『消え行く太陽』の暗さについて行けない。。 


なんでこんなに暗いんだ, 黒人のくせに。 


と思うのは, 黒人(今の言葉ならアフリカン・アメリカン)と言ったら頭に毛糸のキャップかぶって, カラダでリズムを取りながら Hey, man, what ya doin? と言っては仲間と gimme five して, あとはラップをしてるかダンクをしているもんだと思う, ちょうど学習塾のホームページといったら授業風景の写真と偏差値アップ!と志望校合格!と生徒募集中!の太字ゴシック体の文字がチラチラしているものだと思うのと同じ,  ステレオタイプの考え方。
 

ビル・ウィザーズは暗いんではなくて落ち着いているにすぎないのです。


なにしろ当なつメロ英語で取り上げたアーチスト中でも年長組の1938年生まれ。
『消え行く太陽』で脚光を浴びたときが33歳。 そしてこの『クリスタルな恋人たち』が流行った時は43歳。 もっとも1933年生まれのジェームズ・ブラウンがあの調子なんだからやはりビル・ウィザース(ズとスをまぜて表記しているのは検索のことを考えてのことで気にしないで下さい)は根暗な方なのかもしれませんが。
wither て「枯れる,しおれる, 希望がしぼむ)」なんて意味があるから「やはりねえ。」 と思って念の為辞書を開いたら withers て「馬などの肩甲骨間の隆起」という意味があるそうな。 苗字が動詞というのも変だと思っていたけど, 今までずっとビル・ウィザーズというと「枯れている」というイメージで来たのはこの勝手な連想のせいでもありました。


ビル・ウィザースの写真を見ると内気そうで, 微笑んでもぎこちなく見えます。 
6人兄弟の末っ子としてウエスト・バージニアの炭坑町 Slab Folk で生まれましたが, 小さいころに父親をなくして母親と祖母に育てられたというのが影を落としているのかもしれません。 
しかし, どこか人間的な暖かさが感じられ好感が持てます。 
そんな人柄は, 小さいころ経験した貧しい炭坑町で助け合う姿を歌った彼の作品 Lean On Me (直訳: ボクに頼って)で窺い知ることができます。


69年間の軍隊生活のあと1967年ロサンジェルスに出てきて, 歌手になるのを夢見ながらボーイング工場で機内の便器を作る仕事をしていました。 (この辺りもビル・ウィザースらしいと勝手に思ってしまいます。)
そして1971年スタックス・レコードのブッカーTジョーンズ(と言うと私は『グリーン・オニオン』というインスト曲のブッカーTとMGs が思い浮かぶ)がプロデュースした『消え行く太陽(Ain't No Sunshine)』がビルボード第3位になるヒット。 
翌年1972年には Lean On Me が1位になり, 以降70年代から80年代前半にかけて, 彼にして見ると30代40代にかけて, アメリカ・ソウル・ミュージックの世界で活躍。 

が1985年のレコーディングを最後にほぼ引退状態。
今はどうしているのでしょう。 なんとなくどこかの教会で牧師になっている感じが私はします。 ともかく静かに暮らしていることでありましょう。


        


日本でも久保田利伸がカバーした『クリスタルの恋人たち』(「クリスタルな恋人たち」ではないのですね)はサキソフォン奏者グローバー・ワシントン・ジュニアの作品。 
ビル・ウィザース盤は1981年に出ましたが, この前年, 現長野県知事田中康夫の『なんとなくクリスタル』がベスト・セラーになっています。 Just the Two of Us の詞を読んだレコード会社のヒトは邦題を考える際に, そこにある crysital raindrops を見て「これだ!」と思って『クリスタルの恋人たち』とつけたのでしょう。 しかし今となるとどこか失笑を買ってしまう邦題。 それでも「ジャズィーでソフィスティケイテッドなサウンド」は「クリスタルな」雰囲気があって当らずとも遠からずの邦題とも思えますが。


最後に一言, 詞について。 
この詞は結構, 意味をとるのが難しい部類に属します。  文法だけで片付けると読めない部分が多くあります。 曲調から見て理屈っぽく訳すと歌の雰囲気に合わないので, それこそ「なんとなくクリスタル」に訳してなんとか完成させました。