eigo21トップページへ  休憩室へ



本館もくじへ
  別館もくじへ 新館もくじへ



128   Mandy   (Barry Manilow)
 マンディ (バリー・マニロウ)
1975
  原詞・訳詞  
もうだいぶ前, 私はとある学習塾で英語の時間講師していて,  中学1年生に曜日を教えようとしたのです。 
「はい, では曜日を後に続けて発音してくださいね。 Sunday.. 」
するとクラスに必ず一人はいるワルガキが大声で歌い出したのでした。


「す○てぇー, も○でぇー, チ○してぇー, ウエッとしてぇー, さ○ってぇー 。。」


もちろんこの生徒をこっぴどく叱ってその場は取り繕いました。


 「親の顔が見てみたいわ。 ったく。 ところで Friday と Saturday はどうなんだろう?」
その日の授業中, 私はこの答えを考えて気もそぞろであったのは言うまでもありません。


バリー・マニロウの『マンディ』は1975年のグラミー賞 Record of the Year にノミネートされた名曲です。 メロディやバリー・マニロウの歌唱力はもちろん, (曜日の Monday ではなく) Mandy という女性に切々と語りかける歌詞も優れていて, 70年代のポップスの一つの潮流, MOR とかアダルト・コンテンポラリーとかいうジャンルの中の代表曲としてあげることが出来るでしょう。


          


バリー・マニロウは1946年6月17日ブルックリン生まれ。 父親はバリーが2歳の時に家を出, 母親に育てられます。 あまり豊かでない生活ながら7歳からピアノやアコーディオンを習い始め, 高校卒業するとあのジュリアード音楽院に入学が認められるほどになります。


ジュリアード音楽院時代に CBS ラジオでアルバイトをしたのがきっかけでマクドナルドやケンタッキー・フライドチキンなどの CBS の番組の広告のジングルを作曲する仕事を始めます。 (CBSのアルバイトは音楽関係ではなくメール・ルームでの仕事でした。)
1971年にまだブレイクする前のベット・ミドラーの音楽・ディレクタ兼ピアニストになり, 彼女とともにツアーに出ます。
彼女とのつながりからバリー自身も1973年にベル・レコードからデビューすることになります。
やがてバリーはアリスタ・レコードの設立者元コロンビアレコード社長のクライブ・デイビスに認められイギリスで流行っていた Scott English の Brandy を歌うのを勧められます。


バリーは2年前にアメリカでヒットした同名異曲のルッキング・グラスの Brandy との混乱を避けるため, Brandy を Mandy に変えることを提案, 彼の案のままレコーディングされました。
(なおアメリカでは Mandy はバリーが自分の飼っている犬に捧げた歌という噂があるそうです。 真相は Mandy の元歌の Brandy を作り歌った  Scott English がジャーナリストからの「 Brandy とは誰のことか」と言う質問に嫌気が差して自分の飼っている犬のことだとウソをついたことが発端のようです。)


          


最後は歌詞について。
これはうまくできている歌詞だと思います。 
夜と朝, 昔と今といった時の流れを歌詞とメロディの中に織り込むのに成功した歌と言えます。 


たとえば第1連。 冷たい雨が降る外から窓を通して泣いている男の影に視点が移るという構成もすばらしいですが, The night goes into moring. 「夜が朝になる」というのをわざと the night goes into で切り, moring を第2連の最初に持っていって, 朝の通勤者が行き交う雑踏に場面を展開して行くという時間の流れを意識させるアイディアは斬新です。
また主題で過去を悔やみ, 今を悲しむ男の嘆きが歌われていますし, 間奏のあとの小さなヤマのある部分でも昨日の夢と朝の現実を対比させています。


もう1点, この歌で注目したいのは, この歌の主人公が都会の勤め人で仕事のために妻(恋人)と別れて今は孤独に暮らしているという現実的なシチュエーションを歌詞にした点です。 このようなテーマはいかにも70年代半ばからアダルト・コンテンポラリーらしい大人の世界を感じさせます。