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127   Me And You And A Dog Named Boo   (Lobo)
 僕と君のブー (ロボ)
1971
 ←音は期待しないで下さい 原詞・訳詞  
ロボことローランド・ケント・ラヴォア(Roland Kent LaVoie) は1943年7月31日フロリダ州タラハシー生まれ。 (タラハシーはナンシー・シナトラの『シュガータウン』の歌詞に出てくる地名でもあります。) のちにフロリダ州中部のウィンター・ヘイブンに引越し, 歌手であった母親と7人兄弟とともに暮らします。 実の父親はビッグ・バンドのギタリストでしたが離婚したのか死去したのか, 彼が物心ついたころにはいなかったようです。


近所の友達がギターを見せてくれたのがきっかけでラヴォアは音楽に興味を持ちフェンダー・ストラトキャスタを購入, 1961年に地元のバンドの”ルーモアズ”からメンバーになる誘いを受けます(誘いを受けたのはこのギターが目当てだったらしいです)。 
やがてこのアマチュアバンドは解散し, ラヴォアは, 同じく解散した地元のバンド”レジェンズ”のジム・ストラフォードとグラム・パーソンズらとあらたに”ルーモアズ”組みます。 このストラフォードとパーソンズはのちに『ターン・ターン・ターン』などのヒットがあるバーズ(The Byrds) のメンバーになります。 またストラフォードは単独で1974年に Spiders and Snakes のヒットを出します。


1964年南フロリダ大学在学中にフィル・ガーンハードと出会い(彼はのちにプロデューサとなりロボのプロデュースをします。 またディオンのアブラハム・マーティン・アンド・ジョンなどもプロデュースします。)シュガー・ビーツというバンドを組み What Am I Doing Here という曲でデビューします。 


シュガービーツもまもなく解散しロボはジム・ストラフォードやフィル・ガーンハードとともにバンド活動を続けますが, 1969年ラヴォアは単独で Happy Days In New York City という曲でレコード・デビュー。 そして2年後の1971年にこの自作曲『僕と君のブー』のヒットを生みます。


        


タイトルにある犬の名前ブー(Boo) は, 自身の愛犬であるジャーマン・シェパードの名前です。  You and  me and に続く韻を踏む語を考えているときに窓から外を見たらこの犬が遊んでいたので, これからインスピレーションを得たということです。
この曲を出す際に, 実際はソロでありながらバンドの名前としてロボを名乗ります。 ロボはスペイン語でオオカミを意味し, 犬とオオカミという関係で覚えやすいのではないかと考えての作戦ですが, このままロボを芸名にして歌うことになります。


『僕と君のブー』の世界的ヒットから一発屋と思われたロボですがコンスタントに70年代に地味ながらヒット・チャートに登場します。 
チャート入りした曲: "I'd Love You to Want Me,"  "Don't Expect Me to Be Your Friend." "It Sure Took a Long, Long Time," "How Can I Tell Her" "Standing at the End of the Line." "Don't Tell Me Goodnight" "Where Were You When I Was Falling in Love


そして現在はカントリーの都, テネシー州ナッシュビルに住みながら, 活動の中心が東南アジアであるという珍しい道を歩んでいます。 これはシンガポールのポニーキャニオン(いうまでもないくフジ・サンケイ・グループのレコード会社ですが)から出した Asian Moon というアルバムのヒットがきっかけです。 このアルバムにはこの世の果てまでやウィル・ユー・ラブ・ミー・トゥナイトなどのスタンダード曲をアジア風にアレンジして吹きこんであるということで, その後もアジア風アレンジで英語の歌を歌うという路線で行っているようです。


        


最後に歌詞について。
饒舌な歌詞なのでどいういう「ブー物語」を展開しているのかと思いきや, CCRのジョン・フォガティが書きそうな田舎の旅の想い出を綴った歌で, タイトルと歌の内容は特に結びつきません。 


さてこの歌詞には, 1箇所「?」マークの場所があります。
第1連の最後のほうにある a roamer's mind told me that's so がそれです。


この部分はウエッブ上にある歌詞サイトの9割9分は
a woman's mind told me that it's so
a woman's mind told me that so
a woman's mind told me that's so
のいずれかになっています。 that 以下がまちまちですが最初は a woman's で同じです。 こうすると「女心がそれはそうだと私に言った」くらいの意味になるでしょうが,この前のところが「スタックした車を意志の力で動かした」という内容なので,意味が通じません。


いろいろ検索したら Jackson Stonewall という歌手の歌詞に音楽出版社の©マーク付きで『僕と君のブー』が載っているのを発見。 これによると問題の部分は
My roamin' mind told me that's so
となっていました。
これなら「私のさすらい心がその通りと言った」となり意味が通ります。


しかし実際の歌では少なくとも my とは歌っていません。 しかも s音が聞こえます。 出版社の「正式の」歌詞には s音にあたる部分はありません。 


そこで生粋の日本人の耳をしていながら, 私は, 大胆にもネイティブ・スピーカの耳に挑戦状をつきつけ, この部分は a roamer's mind told me that's so ではないかと提唱します。


ここで問題の個所だけを取り出してみましょう。 (6回ループされます)
 
a woman's  9割9分のアチラの歌詞サイト
a roamin'  音楽出版社の「正式な」歌詞 (実際は a は my になっている)
a roamer's  私の考え


【考察】
(1) 母音は [u] ではなく [ou] ではないかと思われます。 つまり woman と聞き取るのは苦しい。


(2) 最初に [w]音が聞こえる感じがします。 だから roamer's  ではなく woman's ではないかと思われるでしょう。 が[r] が[w] に聞こえるのも不思議ではないと思います。
[r]は[w]と同じく半母音(半子音)でかなりビミョーな響きになります。 母音を発音すると口が開閉しますが, 半母音も次に来る音への橋渡しとして口が動きます。
語頭の[r]音は舌を浮かせて[w]を発音する感じになるため[r]の響きが弱いと[w]音に聞こえてもおかしくありません。
wrong, wrestle, write など語頭に wr- は w を黙字として [r]だけ発音していますが, この w と r のビミョーな関係を示唆しているのではないかと思います。


(3)  woman's と聞き取る根拠に [n] 音が聞こえることがあげられます。
roamer には [n]音がありません。 しかし, 鼻音 -mer の部分を, メロディが上昇するため息が鼻にかかり, [n] のような音が聞こえているのではないかと思います。 
試しに[マー]と低音と高音で発音してみてください。 すると高音の[マー]のときは鼻に息がかかり[マーン]のようになってしまうかと思います。

 
さらに大胆な仮説として「ロボ慢性副鼻腔炎」説を唱えたいと思います。
ロボの甘いソフトな声質は全体に鼻にかかっているように聞こえます。  これは副鼻腔炎によるものではないでしょうか。 私は慢性副鼻腔炎なのですが, 母音が鼻にかかってしまう傾向があって, 勝手ながら同病相憐れむのココロで彼の歌を聞いてしまうのです。


ともかくネイティブスピーカが woman と聞き取ってしまうほど(いや, 本当に womanと発音しているのかもしれませんが)英語の歌の聞き取りは難しい。 
レコードの歌詞カードが原詞と違っているなんてことは当たり前。
しっかりしてよ, ネイティブさん。 こちらは当てにしてるんです。